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【特集】こころのディスタンス

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物理的な距離を取ることで意識するようになった「こころの距離」。目に見えないこころの距離について、一緒に考えてみませんか。
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#新型コロナウイルス

ポスト・パンデミックの心的距離(妙木浩之:東京国際大学人間社会学部教授)#こころのディスタンス

ポスト・パンデミックの心的距離(妙木浩之:東京国際大学人間社会学部教授)#こころのディスタンス

できるだけ人と離れること、交流しないこと。今まで私たちがよいと考えてきたことに反するような考え方が有効な手立てとされた社会状況は、私たちの心の中の距離にどのような影響を与えているでしょうか。臨床心理学と精神分析学が専門の妙木浩之先生に、読み解いていただきました。

1.はじめに パンデミックを起こした新型コロナウィルス、COVID-19は、今も、この世界を大きく変えようとしている。いろいろな理由が

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不安との向き合い方 ~コロナ禍で私が学んだこと~(清水 研:がん研有明病院腫瘍精神科部長)#こころのディスタンス

不安との向き合い方 ~コロナ禍で私が学んだこと~(清水 研:がん研有明病院腫瘍精神科部長)#こころのディスタンス

感染症の広がりは、いつもは意識の外にある「死」というものを、改めて私たちに突きつけてきました。不穏な状況が次々と起こる中、どうしても膨らんでしまう不安に対して、何ができるでしょうか。多くのがん患者の不安と向き合い、手助けをしてきた清水 研先生にお書きいただきました。

コロナ禍が私たちに与えた課題
 わたしたちは「自分や大切な人が死ぬかもしれない」ということは普段あまり意識しないで済む、安全な社会

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「コロナ失業」の心理的な支援 ~つながりの喪失と再生へむけてできること~(廣川 進:法政大学キャリアデザイン学部教授/日本産業カウンセリング学会会長
) #こころのディスタンス

「コロナ失業」の心理的な支援 ~つながりの喪失と再生へむけてできること~(廣川 進:法政大学キャリアデザイン学部教授/日本産業カウンセリング学会会長 ) #こころのディスタンス

コロナ禍で報道が相次ぐ失業。職を失うことはその人にとって深刻な問題であることは言うまでもありません。今回は失業者への支援をご専門の一つとされる廣川 進先生に、失業が心に及ぼす影響とその支援について、ご寄稿いただきました。

1)失業と自殺の相関
 まず図1をご覧いただきたい。日本においては失業率と自殺率は非常に相関が高い。失業率が5%を超えると自殺率(10万人当りの自殺者数)が25人、実数で3万人

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こころの交流は、ときに命よりも重い(平尾 剛:神戸親和女子大学教授)#こころのディスタンス

こころの交流は、ときに命よりも重い(平尾 剛:神戸親和女子大学教授)#こころのディスタンス

人との交流を避けることが推奨される中、普段なら正当化されないような行動を取る人が現れてきました。また、そういった行動に、少なからずの人たちが共感を覚え、一定の力を与える状況も見えてきました。このような事態はどうして起きたのでしょうか。どんな危険性をはらんでいるでしょうか。スポーツ教育学と身体論がご専門の元ラグビー日本代表の平尾 剛先生が警鐘を鳴らします。

ある日のエレベーターで 緊急事態宣言が発

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若者の「働く」に新しい選択肢を ~ これからの社会とつながるために~(工藤 啓:認定NPO法人 育て上げネット 理事長)#こころのディスタンス

若者の「働く」に新しい選択肢を ~ これからの社会とつながるために~(工藤 啓:認定NPO法人 育て上げネット 理事長)#こころのディスタンス

コロナ禍をきっかけに、私たちの働き方は大きく変わりつつあります。そうしたなかで、「働きたいけれども働けない」若い世代の人々が社会とのつながりを取り戻すために、今後どのような考え方が大切になってくるでしょうか。無業(ニート)・ひきこもり・フリーターの若者の就労支援に取り組んでいる、認定NPO法人 育て上げネット理事長の工藤啓さんにうかがいました。

コロナ禍が「働く」風景を変えた
 画面の向こう側に

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変化に置かれた親子と、With コロナ時代の支援(井上雅彦先生:インタビュー) #こころのディスタンス

変化に置かれた親子と、With コロナ時代の支援(井上雅彦先生:インタビュー) #こころのディスタンス

緊急事態宣言の解除がなされ、社会活動が徐々に再開されてきています。この数カ月の間に、私たちの日常は変化の連続でした。井上雅彦先生(鳥取大学大学院医学系研究科 臨床心理学講座 教授)に、変化に置かれた親御さんに伝えたいこと、支援者たちのこれからについてお伺いしました。

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―― 緊急事態宣言が解除になり、少しずつ社会活動が再開されてきています。親子はいま、どのような状況に置かれているのでしょ

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遠隔心理学の歴史とCovid-19(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

遠隔心理学の歴史とCovid-19(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

Covid-19の影響によって大きな注目を集めた遠隔心理学。テクノロジーとこころの支援がどんな歴史を歩んできたのか、遠隔心理学の研究と実践を重ねる平泉 拓先生にご寄稿いただきました。

はじめに 遠隔心理学(遠隔心理支援サービス)は、遠隔コミュニケーションの情報技術を用いた心理支援サービスの提供を指す心理学の一分野です。細くて長い歴史があります。Civid-19禍では、災害後のこころの動き(「ここ

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われわれの心と心が離れていくのはこれからだろう~自殺研究からの警鐘として~(末木 新:和光大学現代人間学部准教授)#こころのディスタンス

われわれの心と心が離れていくのはこれからだろう~自殺研究からの警鐘として~(末木 新:和光大学現代人間学部准教授)#こころのディスタンス

社会経済活動の段階的な再開が進むなか、私たちが直面しつつある新たな危機とは。自殺に関する研究を続けられ、自殺予防活動にも従事されている末木新先生が、今後予期される事態への注意を呼びかけます。

日常を揺るがす社会的危機
 これほどの社会的インパクトを持つ危機が起こったのはいつ以来かと考えると、個人的には東日本大震災が思い出されます。

 2011年3月11日、東日本大震災の発生時、私は東京で大学院

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SNSカウンセリングのいま(杉原保史:京都大学 学生総合支援センター センター長/教授)#こころのディスタンス

SNSカウンセリングのいま(杉原保史:京都大学 学生総合支援センター センター長/教授)#こころのディスタンス

新型コロナウイルスの影響により私たちの生活は様変わりしました。そのなかでもインターネットを介したコミュニケーションが増えたのではないでしょうか。心理的な支援においても、インターネットを利用した支援が強く注目されました。今回はSNSカウンセリングにおいて多数の著著や論文をもつ杉原保史先生にご寄稿いただきました。

新型コロナ・ウイルスが遠隔カウンセリングを普及させた?
 いま、新型コロナ・ウイルスの

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