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【特集】こころのディスタンス

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物理的な距離を取ることで意識するようになった「こころの距離」。目に見えないこころの距離について、一緒に考えてみませんか。
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#カウンセリング

「コロナ失業」の心理的な支援 ~つながりの喪失と再生へむけてできること~(廣川 進:法政大学キャリアデザイン学部教授/日本産業カウンセリング学会会長
) #こころのディスタンス

「コロナ失業」の心理的な支援 ~つながりの喪失と再生へむけてできること~(廣川 進:法政大学キャリアデザイン学部教授/日本産業カウンセリング学会会長 ) #こころのディスタンス

コロナ禍で報道が相次ぐ失業。職を失うことはその人にとって深刻な問題であることは言うまでもありません。今回は失業者への支援をご専門の一つとされる廣川 進先生に、失業が心に及ぼす影響とその支援について、ご寄稿いただきました。

1)失業と自殺の相関
 まず図1をご覧いただきたい。日本においては失業率と自殺率は非常に相関が高い。失業率が5%を超えると自殺率(10万人当りの自殺者数)が25人、実数で3万人

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オンライン臨床は「臨床」になれるのだろうかという問い(中村 洸太:NPO法人 日本オンラインカウンセリング協会 理事)#こころのディスタンス

オンライン臨床は「臨床」になれるのだろうかという問い(中村 洸太:NPO法人 日本オンラインカウンセリング協会 理事)#こころのディスタンス

コロナ禍の影響により、私たちの生活まわりで急激にオンライン化が進むなか、カウンセリングにも一大ムーブメントが到来しつつあります。従来の対面カウンセリングとの二者択一で捉えるのではなく、よりよい支援のための新たな可能性として、オンラインカウンセリングには期待できる点がたくさんありそうです。オンライン臨床の経験が豊富な中村洸太先生に、実践のポイントを交えながら、解説していただきました。

新型コロナ・

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変化に置かれた親子と、With コロナ時代の支援(井上雅彦先生:インタビュー) #こころのディスタンス

変化に置かれた親子と、With コロナ時代の支援(井上雅彦先生:インタビュー) #こころのディスタンス

緊急事態宣言の解除がなされ、社会活動が徐々に再開されてきています。この数カ月の間に、私たちの日常は変化の連続でした。井上雅彦先生(鳥取大学大学院医学系研究科 臨床心理学講座 教授)に、変化に置かれた親御さんに伝えたいこと、支援者たちのこれからについてお伺いしました。

***

―― 緊急事態宣言が解除になり、少しずつ社会活動が再開されてきています。親子はいま、どのような状況に置かれているのでしょ

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“遠隔心理療法” (Videoconferencing Psychotherapy: VCP)の実際(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

“遠隔心理療法” (Videoconferencing Psychotherapy: VCP)の実際(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

Covid-19の影響で大きな注目を集めた遠隔心理療法。その現状や研究からわかったこと、そして実践のポイントといった “実際” について、平泉 拓先生にご寄稿いただきました。

はじめに 遠隔心理学(遠隔心理支援サービス)は、遠隔コミュニケーションの情報技術を用いた心理支援サービスの提供を指す心理学の一分野です。前回の記事では、遠隔心理学の歴史を概観し、災害後のこころの動きについて一考しました。本

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遠隔心理学の歴史とCovid-19(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

遠隔心理学の歴史とCovid-19(平泉 拓:東北福祉大学総合福祉学部 助教) #こころのディスタンス

Covid-19の影響によって大きな注目を集めた遠隔心理学。テクノロジーとこころの支援がどんな歴史を歩んできたのか、遠隔心理学の研究と実践を重ねる平泉 拓先生にご寄稿いただきました。

はじめに 遠隔心理学(遠隔心理支援サービス)は、遠隔コミュニケーションの情報技術を用いた心理支援サービスの提供を指す心理学の一分野です。細くて長い歴史があります。Civid-19禍では、災害後のこころの動き(「ここ

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スクールカウンセラーとして考える子どもとのちょうど良い距離感
(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表) #こころのディスタンス

スクールカウンセラーとして考える子どもとのちょうど良い距離感 (半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表) #こころのディスタンス

子どもの頃、大人が何もかもわかったような顔をして対応する姿に、とても腹が立ったことはないでしょうか。しかし大人になると、何故あんなに腹を立てていたのか忘れてしまっている人がほとんどではないでしょうか。誰もが体験して来たのに、とても遠くなってしまった子どもの頃の気持ち。ずっと子どもの心とかかわり続けてきたスクールカウンセラーの半田一郎先生に、子どもの心との距離について語っていただきました。

 私は

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「助けて」が言える、「助けて」が届く社会をめざして ~援助要請の心理学から創り出す未来~(本田真大:北海道教育大学函館校 准教授) #こころのディスタンス

「助けて」が言える、「助けて」が届く社会をめざして ~援助要請の心理学から創り出す未来~(本田真大:北海道教育大学函館校 准教授) #こころのディスタンス

ソーシャルディスタンスが提唱されている社会情勢の中において、「こころのディスタンス」を近づけて、「助けてほしい」「相談したい」などの「援助要請の心理」が創り出す未来について、本田真大先生に語っていただきました。

相談しない心理 物理的・身体的距離を一定程度離す「ソーシャルディスタンス」は、心理的距離(「こころのディスタンス」)にも影響するでしょう。本稿では特集テーマの「こころのディスタンス」を、

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SNSカウンセリングのいま(杉原保史:京都大学 学生総合支援センター センター長/教授)#こころのディスタンス

SNSカウンセリングのいま(杉原保史:京都大学 学生総合支援センター センター長/教授)#こころのディスタンス

新型コロナウイルスの影響により私たちの生活は様変わりしました。そのなかでもインターネットを介したコミュニケーションが増えたのではないでしょうか。心理的な支援においても、インターネットを利用した支援が強く注目されました。今回はSNSカウンセリングにおいて多数の著著や論文をもつ杉原保史先生にご寄稿いただきました。

新型コロナ・ウイルスが遠隔カウンセリングを普及させた?
 いま、新型コロナ・ウイルスの

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