「こころ」のための専門メディア 金子書房

「こころの健康」のための情報発信や、心理検査を開発・販売しています。 そのほか、中の人が色々書いたりします😊

特集 自己と他者 異なる価値観への想像力

今回の特集は「自己と他者 異なる価値観への想像力」です。異なる価値観と出会ったときに、私たちの心に何が生じるのでしょうか。その心にどのように向き合えばよいでしょう。広く他者との違いに興味をもつことで、今までと違った世界が見え、自分への理解も深まるのではないでしょうか。身近な人から見知らぬ人まで、地域からどこか遠くの国まで、自分の外に目を向ける想像力と価値について特集します。

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異なる価値観の人との対話のために(東京学芸大学教育学部教授:松尾直博) #自己と他者 異なる価値観への想像力

人の気持ちを慮る力は弱くなっているのか? 「今の子どもは自分勝手だ」「自己中心的な子どもが増えた」という意見を聞いた時、皆さんはどう思うでしょうか。また、「今の大人は自分勝手だ」「自己中心的な大人が増えた」という意見を聞いた時、皆さんはどう思うでしょうか。「そうそう、そうだよね」と思う人もいれば、「いや、そんなことはないよ」と思う人もいるでしょう。  『児童心理』(金子書房)の1969年12月号の特集は「現代っ子のエゴイズム」でした。と言っても、私が読んだのは最近です。その

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ASD当事者の間にある多様性を語ることの難しさ(ASD当事者:高森明)#自己と他者 異なる価値観への想像力

はじめに ASD(自閉症スペクトラム)当事者である筆者が示したいことは、ASD当事者がASD当事者同士の間にある多様性と異なる価値観に対して想像力を持つことの難しさである。  筆者は10年ほど前まで、主に自らの経験を土台にして多様な存在の一つであるASD当事者について積極的に情報発信を行ってきた。しかし、その方法ではASD当事者の間にある多様性を説明することはとてもじゃないができないと考え、自己語りからは撤退気味になった。現在は、他のASD当事者の経験を聞くことにより、ASD

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自己と他者と傷つき(金沢大学教授:岡田努先生)#自己と他者 異なる価値観への想像力

傷つくことを恐れる関係性 現代の日本の若者は、自分が傷つくことを恐れ、距離をとった関わりになってしまう、あるいは他人からどのように見えるかを気にして、自分の本音を出せなくなっている、とよく言われます。  これは本当のことなのでしょうか?そして、そういう付き合い方は本当に好ましくないことなのでしょうか?ここではそうした視点から現代の若者の対人関係について述べてみたいと思います。 そもそも若者の人間関係の持ち方は変化したのか? 現代の若者は本当に人と深く付き合わなくなったのでし

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異なる価値観:自己否定を打ち崩す出会い(兵庫教育大学大学院教授:中間玲子先生)#自己と他者 異なる価値観への想像力

私たちは自分の価値を感じたいと思ってしまう 私たちの心には自分という存在の価値を確認したい気持ちがあります。自分の価値を確認できる経験は積極的に求め、それを否定するような経験には無意識に抵抗する。私たちの心にはこのようなしくみがあるとされます。自分として存在しなければならない人間にとって、その気持ちは前向きに生きるために求めざるを得ないものなのでしょう。  とはいえ、そのような思いがいつも満たされているわけではありません。大きな挫折を経験したときや大失恋をしたときなどには、

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連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー

ブリーフセラピー/家族療法の専門家、吉田克彦先生(合同会社ぜんと代表)による連載記事です。 この連載で紹介するブリーフセラピー/家族療法のコツ(技法)は、カウンセリングに限らず仕事やプライベートなどで相談する/されるという経験のある方にも役立つものです。 したがって、カウンセリングを職業としていない方々が、仕事やプライベートなどの日常でも活用できるような情報にもなっております。 「相談してくれた人が、できる限り楽になる」ためのコツを知ることができる連載です。

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【第5回】ダブルバインド入門:ダブルバインドは身近にある(吉田克彦:合同会社ぜんと代表)連載:家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー

 前回は東日本大震災被災地での成人した息子からのDVに悩んでいる母親の事例を紹介しました。そして、最後に治療的ダブルバインドについて少し触れさせていただきました。今回からブリーフセラピーの要ともいえるダブルバインドと治療的ダブルバインドについて考えていきたいと思います。 ダブルバインドを制する者がブリーフセラピーを制する もともと、ダブルバインドはベイトソンらによる統合失調症患者とその家族のコミュニケーション研究のなかで、以下のようなやり取りから注目をされました。  息子

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【第4回】家族は些細なことで(良くも悪くも)変化する(吉田克彦:合同会社ぜんと代表)連載:家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー

 カウンセラーに限らずだれでもブリーフセラピーが活用できるようにと、前回まで日常的なブリーフセラピー的な場面をご紹介してきました。今回からは、実際のカウンセリング事例を元に、よりブリーフセラピーの考え方について紹介していきたいと思います。カウンセリング事例ではありますが、家族の問題ですので、日常場面でも役立つ内容になっております。考え方は非常にシンプルですので、難しく考えずに読んでいただければ幸いです。 ワンダウン・ポジション 意識する・しないにかかわらず、カウンセラーとク

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【第3回】在宅勤務で座る位置を変える?:全てのことがメッセージになりうる(吉田克彦:合同会社ぜんと代表)連載:家族療法家の臨床ノート連載―事例で学ぶブリーフセラピー

 ブリーフセラピーはちょっとした工夫の積み重ねであることの例として1回目は、日常のブリーフセラピー的な工夫について紹介しました。前回(第2回)は、ブリーフセラピー的な工夫をする上での相互作用の視点について「カラス進入禁止」の貼り紙を例に考えてみました。今回は、メールカウンセリングのひとコマから、相互作用(拘束)が対人関係だけではないという事例を紹介いたします。 在宅勤務の座る位置 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちのフィジカルだけでなく、むしろそれ以上にメンタルに影響を

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【第2回】カラス侵入禁止の貼り紙は効果があるのか?(相互作用とは)(吉田克彦:合同会社ぜんと代表)連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー

 ブリーフセラピーに関する連載の2回目です。前回は、ブリーフセラピーというのは特別なものではなく、日常にあふれているものであり、先人たちの工夫の積み重ねであるとお伝えしました。そして「ブリーフセラピーらしさ」として、①犯人探しや原因追及をしない、②禁止ではなく、新たな行動を提案する、③相手の変化を促すために、先にこちらが変化する、④大げさな準備よりも、できるだけ小さく試みる、という4つを紹介しました。  実際のブリーフセラピーの事例に入る前に、今回は「相互作用」について考え

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連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

スクールカウンセラーの半田一郎先生(子育てカウンセリング・リソースポート代表)による連載記事です。 この連載では、大人が子どものSOSを受け止められるようになることを目指して、聴き方や受け止め方についてお伝えしていきます。 まず基本的なSOSの受け止め方について、つぎに話を聴くことについて、そしてSOSを受け止める際の難しいポイントについて、具体的に解説していきます。 子どもからのSOSは今日にでも、明日にでもあるかもしれません。 そんな状況に役立つ、大切なことが詰まった連載です。 ぜひご高覧ください。

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【第12回】まとめに代えて:トトロの物語から考える子どものサポート(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 この連載では、子どものSOSの聴き方受け止め方について詳しく解説してきました。今回、連載は12回目となり、1年間が過ぎようとしています。連載の最後に、今までのまとめに代えて、映画「となりのトトロ」をもとに、主人公のサツキに焦点を当てて子どものサポートについて考えてみたいと思います。  となりのトトロは、1988年に公開された映画です。その後、何度もテレビで放送されてきましたが、視聴率は毎回高い値となっています。いつまでたっても人気が衰えない素晴らしい物語です。そのため、映

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【第11回】子どもへの関わり方を磨く(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 子どものSOSを聴き、受け止めるときには、「何を言うか」という言葉の内容だけではなく、「どのように言うか」という言い方や雰囲気も非常に大切です。ところで、人と人のコミュニケーションは、言葉として文字にすることができる言語的な要素と言葉にならない言葉以前の要素に分けて捉えることができます。言葉にならない言葉以前の要素とは、声の抑揚やトーン、質感、リズム、間、など文字として表現しづらい要素で、これはプレバーバルな要素と呼ばれます。このプレバーバルな要素が、心をサポートする基本で

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【第10回】心のサポートと心の成長(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 今までの連載では、子どもたちのSOSの聴き方や受け止め方について書いてきました。子どもたちのSOSの背景には、現実場面で直面する様々な困難があります。子どもは様々な不快な感情を抱きますが、それを大人に受け止めてもらうことによって、現実に向き合っていくことができます。それが子どもの成長につながっていくのです。今回の連載では、このことについて詳しく説明したいと思います。 現実と気持ちを分けて捉える 一般的に子育てでは、「子どもの気持ちに寄り添う」ことが大切と言われています。ま

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【第9回】子どもたちのSOSを受け止め、サポートする関わり方 その2(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 今回も、子どもたちのSOSを受け止め、サポートする関わり方について書いていきたいと思います。今回は、やや難しい状況でどんなふうに話を聞き、どんなふうに関わっていくのかについて解説します。 子どもが今直面している困難を理解する 子どものSOSを受け止めるには、子どもが感じている辛さや苦しさを理解することが大切です。つまり、子どもが今直面している困難を理解することが重要なのです。  子どもが直面している困難は、色々な表現で語られます。例えば、「死にたい」と訴える子どもの話し

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【連載】心理検査って何?

心理検査とは何でしょうか? 専門家は、どんな目的のためにそれを実施するのでしょうか? この連載では、これから本格的に臨床心理学を学ぼうと考えている方、あるいは現在、臨床心理学を学び始めたばかりの方を対象に、心理検査の基本についてわかりやすく解説してまいります(全4回)。

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【第4回(最終回)】心理検査の治療的な意味について(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室

心理検査の治療的活用の歴史1.投映法にみる治療的な試み  本稿でいう治療的活用とは、心理検査結果に基づいて援助方針を立てることを指してはいません。むしろ、心理検査にかかわる一連の業務そのものを治療的に用いようとする試みを意味しています。あまり知られていないことですが、こういった試みは今に始まったことではなく、投映法の領域では実に古くから実践されていました。2017年にヘルマン・ロールシャッハ(Rorschach, H.)の伝記をまとめて発表したサールズ(Searls, D.

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【第3回】最近のロールシャッハ・テスト事情(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室

 このシリーズも折り返し地点に入りました。これまでは、心理検査の基本的な概念や位置づけ、信頼性・妥当性などの理論的なお話が主でしたが、これからは少し実際的な内容に触れていくことにします。そこで、最近の心理検査事情をテーマに取り上げることにしました。わけても今回は、心理臨床場面において使用頻度の高いロールシャッハ・テストに焦点を当てます。この記事では、アメリカにおいて隆盛と衰退、そして復活を経験したこのテストの歴史を振り返るとともに、テストが今後どのような方向を目指していくのか

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【第2回】心理検査の信頼性と妥当性について(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室

 今回は、心理検査の信頼性と妥当性という話題に焦点を絞ってお話ししたいと思います。信頼性と妥当性は、言うなれば心理検査における科学的基盤であり、非常に重要な考え方です。それゆえ心理検査を語るうえで避けて通ることはできません。少し込み入った話になるかもしれませんが、お付き合いください。 心理検査の成立要件  心理検査を成立させる要件のなかでも特に重要なのが、信頼性と妥当性が保証されていることです。信頼性とは、検査によって測定される結果が一貫しているかどうかを問うものであり、妥

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【第1回】心理検査の基本的な考え方(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室

 このシリーズは、これから本格的に臨床心理学を学ぼうと考えている方、あるいは現在、臨床心理学を学び始めたばかりの方を対象に、心理検査の基本について理解を深めていくことを目的とした企画です。  大学の学部で心理学全般の基礎的な考え方や方法をある程度学び、「さあ、これからいよいよ臨床心理学を専門的に学ぶぞ」という方が最適な読者です。もちろん、専門のコースに在籍する上級生の皆さんが読者として不向きであるというわけではありません。かつて学んだ内容であっても、後から新たな知識が加わるこ

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特集:立ち直る力

今回の特集では「立ち直る力」です。近年注目を集めているこの力について、今回も専門家の先生方や著名な方々からご寄稿いただきます。

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自分を好きになれないという心理(川崎直樹:日本女子大学教授)#立ち直る力

 「自分を好きになれない」「自己肯定感がほしい」といった悩みを持つ人は多くいると思います。筆者自身も、なかなか自分を好きになれない人間で、ずっとこのテーマを考えてきました。自己受容、自尊心、自己愛・・・いろいろな言葉がありますが、この悩みとどう向き合ったらいいのか、はっきりした答えは見つかりません。ただ、心理学のいろいろな知見をヒントにしたときに見えてきた風景を少し書いてみたいと思います。 “「自分を好きになりたい」と思う自分”がいるということ 主に社会心理学者が言及してい

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ネガティブな口癖の影響とその改善(木部則雄:こども・思春期メンタルクリニック・白百合女子大学発達心理学科)#立ち直る力

 クリニックや相談室には、「どうせ私なんか」「死にたい」など、否定的な言葉が口癖になっている子どもたちが相談にくることがあります。保護者のなかには、蒼ざめた表情で「死にたい」と言っているので、「どうしたらいいのか」と狼狽している人もいます。  まず、こうした発言に含まれる真意はどのようなものか、考えてみましょう。自己評価とか、自尊心とか、いくつかの心理学用語はよく知られていますが、これらは自己愛という概念に括れると思っています。精神分析の創案者であるフロイトの発達論というと

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「歌のささやかな力」(渡邊芳之:帯広畜産大学教授)#立ち直る力

 非常勤で教えに行っていた看護学校の卒業式に出席して祝辞を述べてくれと言われたことがあり、光栄なことだと思って引き受けた。卒業生たちへの励ましの言葉を述べ終わって安心して来賓席に座っていると、「卒業生合唱」というアナウンスとともに、卒業生たちが「ブラザー・サン・シスター・ムーン」を歌い始めたので、自分は驚いて動けなくなってしまった。  「ブラザー・サン・シスター・ムーン」はカトリックの聖人であるアッシジの聖フランチェスコ(1182-1226)の若き日の信仰生活と恋を描いた1

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失くした恋の後に(仲嶺 真:東京未来大学モチベーション行動科学部特任講師)#立ち直る力

 失恋からの立ち直りについて書いてほしい。そのような依頼を受けた。二つ返事で引き受けたけれど、失恋からの立ち直りとはなにか、実は僕にはよくわからない。ただ、失恋からの立ち直りについてときどき考えることがある。その、ときどき考えていることを、ここでは書きたいと思う。結論は結局「よくわからない」ということになる。ただ、なぜよくわからないのか、そのことを書きたいと思う。  アオから聞いた、若かりし頃の恋の話である。アオは年下のかわいらしい子を好きになった。少し変わった子で、グルー

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