「こころ」のための専門メディア 金子書房

「こころの健康」のための情報発信や、心理検査を開発・販売しています。 そのほか、中の人が色々書いたりします😊

特集:立ち直る力

今回の特集では「立ち直る力」です。近年注目を集めているこの力について、今回も専門家の先生方や著名な方々からご寄稿いただきます。

つながりが、前を向かせてくれる(荒井弘和:法政大学文学部教授)#立ち直る力

 私は、スポーツメンタルトレーニング指導士 (日本スポーツ心理学会が認定している資格です) として、様々なアスリートに対して、メンタルトレーニングなどのメンタルサポートを行っています。「アスリートは鋼のメンタルを持っている」と思われがちですが、アスリートもひとりの人間です。気持ちの浮き沈みもあるし、ストレスを感じることも当然あります。 「つながろう」から「つながるな」へ 私たちスポーツメンタルトレーニング指導士は、リモートでも活動可能なため、コロナ禍でも継続してアスリートを

スキ
7

失語のある人の言葉を取り戻す支援(竹中啓介:我孫子市障害者福祉センター)#立ち直る力

失語とは 大脳には、言語中枢と呼ばれる言語の機能を司る場所がいくつかあります。これらの言語中枢が脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷などによって損傷を受けると失語になります。失語になると、話し言葉が不自由になるのみならず、他人の話を聞いて理解することや、文字の読み書き、計算することなどが不自由になります。そのため、症状が重い場合は、自分の意思を他人に伝えられなかったり、周囲の話を理解できなくなったりします。失語の症状は、損傷された言語中枢の場所や範囲によって異なり、たどたどしく話

スキ
4

無気力の正体を知って、無気力から立ち直ろう!(櫻井茂男:筑波大学名誉教授)#立ち直る力

無気力の正体とは これまでの研究によれば、無気力の根本的な原因は3つあります。それらは①無力感、②絶望感、そして③無目標です(拙著『無気力から立ち直る(近刊)』をご参照ください)。  無力感とはストレスフルでいやな状況を自分の力では改善できない(自分ではどうしようもない)という気持ちのこと、絶望感とは将来もそうした無力な状態が続くであろう(将来に期待がもてないであろう)という気持ちのことです。そして無目標とは文字通り、目標がもてない状態です。目標がもてなければやる気は湧いて

スキ
18

何度も蘇る「嫌な記憶」「つらい記憶」には、対処法があるのか(春日武彦:精神科医)#立ち直る力

【記憶のゾンビ】 幸いにも、わたしは人生観や世界観が一変してしまうような恐ろしい出来事や、途方もなくつらく悲しい事件に遭遇したことはありません。もしそういった出来事や事件と出会っていたら、それらは忘れたくても忘れられない「おぞましい記憶」として頭の中に居座り、たとえ忘れたつもりになっていたとしても、何かの拍子にいきなり(まるでゾンビのように)蘇って心を苦しめるに違いありません。  比較的平穏に人生を送ってきたとしても、恥ずかしい思い出や失望、絶望、自己嫌悪に駆られるようなエ

スキ
26

連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

スクールカウンセラーの半田一郎先生(子育てカウンセリング・リソースポート代表)による連載記事です。 この連載では、大人が子どものSOSを受け止められるようになることを目指して、聴き方や受け止め方についてお伝えしていきます。 まず基本的なSOSの受け止め方について、つぎに話を聴くことについて、そしてSOSを受け止める際の難しいポイントについて、具体的に解説していきます。 子どもからのSOSは今日にでも、明日にでもあるかもしれません。 そんな状況に役立つ、大切なことが詰まった連載です。 ぜひご高覧ください。

【第6回】ともに眺める関係(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 前回、傾聴することは、人と一緒に映画を見るようなものだということをお伝えしました。傾聴とは、「聴き手が話したくても話さないで、話し手の話をよく聴かなければならない」という性質のものではなく、語られるストーリーを話し手と一緒に眺めながら、話し手の話についていくことなのです。そして、人と一緒に映画を見るような姿勢で傾聴することは、傾聴にとって重要だといわれている、受容(無条件の積極的関心)、共感的理解、一致という3つの姿勢と共通すると考えられます。  今回は、傾聴とは人と一緒

スキ
20

【第5回】子どもの話を傾聴すること(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 前回までに、子どもの深刻なSOSをどのように受け止めたら良いかについて書いてきました。例えば、「死にたい」という訴えがあったときに、まずは、話してくれた事に感謝を伝えることが重要であることを説明しました。こんなふうに、SOSを受け止めるためには、具体的な工夫がいろいろとあります。一方で、今まで紹介してきた関わり方の背景には、子どもの話を傾聴する姿勢があります。傾聴する姿勢があるからこそ、具体的な工夫が意味を持つのです。そこで、今回から数回をかけて、傾聴について書いていきたい

スキ
34

【第4回】自傷行為への関わり方(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 前回のnoteでは、リストカットなどの自傷行為をしている子どもに対して、手当てをするように約束することを通して関わりを持つことをお勧めしました。自傷行為そのものについては、話し合うことが難しい段階でも、手当てについて話すことを通して、自傷について安心して話すことができる関係づくりを目指すのです。  今回は、子どもとの関係性がある程度深まった段階で、自傷行為そのものについてどのように扱っていけば良いかについて考えて行きます。 やめさせようとすること  前回も説明しましたが

スキ
30

【第3回】自傷行為を知ったときの聴き方受け止め方(半田一郎:子育てカウンセリング・リソースポート代表)連載:子どものSOSの聴き方・受け止め方

 自傷行為というのは、自分の体の一部を意図的に傷つける行為です。手首をカッターなどで傷つけるリストカットがよく知られていますが、その他にも、針などを自分の体に刺す、自分を叩く、噛む、頭を壁にぶつけるなどがあります。  自傷行為は、「耐えがたい苦痛に耐えるための孤独な対処法」(松本、2018)と言われます。自傷をする子どもたちは、人に悩みを打ち明けたり、人に頼ったりせずに、自分1人だけで苦しい気持ち・辛い気持ちをなんとか乗り切ろうとしているのです。  自傷行為の背景には、辛

スキ
51

もやもやする気持ちへの処方箋

もやもやした気持ち。 どなたもこの気持ちを抱えたことがあるでしょう。もしかしたらたったいま、あなたも抱えているかもしれません。 付き合いが難しいこの気持ちと、どう付き合っていけばよいのでしょうか。 このマガジンでは、専門家や著名な方の力をお借りして、そのヒントや学びをお伝えしていきます。

コロナ禍で大混乱の家族とモヤモヤ解析 ―祖父母の「底力」と「孫育て」が日本を救う?!―(宮本まき子:家族問題評論家・エッセイスト)#もやもやする気持ちへの処方箋

少子化が進むにつれ、親子関係とともに祖父母との関係も密接になってきました。そんなときに訪れた現在の感染症の状況。いま、祖父母世代が孫にできることは何でしょうか。また、年長者として伝えておかなければならないと思うことは何でしょうか。家族問題評論家の宮本先生にお書きいただきました。 「たかがマスク、されどマスク」 2019年11月、ニューヨークはどこに行っても咳き込む人に出会う。滞在先の老婦人から「経験したことのない重症の風邪が流行中」と聞かされ、「日本人の奇習」の白マスク着用

スキ
20

自分で自分の気持ちを救う(藤田博康:駒澤大学心理学科教授)#もやもやする気持ちへの処方箋

不安や悲しみなど、どうにもこころを塞いで、日々の行動を止めてしまうこともある思いに、自らできることは何でしょうか。どうしたらつらい気持ちにとらわれ過ぎずに生きていけるようになるでしょうか。臨床心理学がご専門の藤田博康先生にアドバイスをお書きいただきました。  世の中には、そして私たちの周囲には、心が晴れない、あるいは心くじかれるような出来事が尽きません。学校や職場にはどうしても嫌な人、馬が合わない人がいたりしますし、ほとんどの人がやりたくない仕事や課題にも追われています。身

スキ
27

思春期の子どもの心のモヤモヤを聴くコツ(阿部真里子:阿部真里子臨床心理オフィス所長)#もやもやする気持ちへの処方箋

多くの大人たちが、思春期にはさまざまなことに思い悩んでいた思い出があると思います。しかし、歳を重ねていく内に、その頃の自分の思いは忘れて、誰にでもあることだと考えてしまいがちです。そんな大人たちが、現在思春期のまっただ中の子どもたちの気持ちを理解するには、どのようにしたらよいでしょうか。長年子どもたちの心理臨床に携わってきた阿部先生にお書きいただきました。 困難な事態に遭遇したときには「大事な体験」「貴重な体験」と唱えてみよう!  ここ2年ほどのコロナ禍での外出の制限で友人

スキ
22

私は私と戦わない(菅野泰蔵:臨床心理士)#もやもやする気持ちへの処方箋

ガンと診断され大手術を受ける。それだけでも心には強い負担がかかり、また、大きく変わった術後の暮らし、リハビリ、検査の日々など、なかなか心晴れない日々が続くのではないかと推察されます。多くの人のこころを支えてきたカウンセラーの菅野泰蔵先生に、ご自身のガンの手術、その後の暮らしについて今思うことを、率直にお書きいただきました。 ガンの宣告  いくら想定はしていても、ガンだと言われるのはちょっとショックである。痛みを覚悟していても、痛いものは痛いということだ。  私の場合は、喉

スキ
23

出会いと別れの心理学

春は出会いと別れの季節です。出会いや別れに関する記事を専門家や著名な方々にご執筆いただき、このマガジンにまとめています。

出会いと別れの心理学(杉渓一言:日本女子大学名誉教授)#出会いと別れの心理学

人は日々に出会いと別れと繰り返しながら、それぞれの人生を紡いでいます。その織りなす綾を、長年にわたって見続け、体験を通して研究されてきた心理学者杉渓一言先生に、今、出会いと別れについて思うことを自由にお書きいただきました。  月一回、朝日新聞に掲載される瀬戸内寂聴さんのエッセー「残された日々」を楽しみに読んでいる。最近の寄稿の冒頭に、「人間、百歳まで生きることは、なかなか大変だと思い知った」とあった。  寂聴さんは私と同い年である。私も大正十一年の生まれだから今年満で九十

スキ
15

別れることの難しさ -ホスピス・精神科クリニックでの印象に残る「別れ」- (徳田智代:久留米大学教授)#出会いと別れの心理学

出会いがあれば別れがあるのが常です。しかし、何度体験してもその衝撃は大きく、受け止めることは難しいものです。また同じ別れでも、人によって受け止め方は異なり、人生における意味合いも違っているのではないでしょうか。心理職として、多くの現場で出会いと別れを体験してきた徳田智代先生に、印象に残るエピソードについてお書きいただきました。  「別れる」ってとても難しい!私は心理職(公認心理師・臨床心理士)として多くの方との別れを経験してきました。患者さんやクライエントの方と出会って上手

スキ
19

子どもの自立を考える(田中陽子:九州保健福祉大学准教授)#出会いと別れの心理学

子どもが親から心理的に、そして経済的にも離れていく自立というもの。以前は、互いに強くぶつかり合い、葛藤しながら別れていくというイメージがありました。今の親子には、そのように衝突し合う姿はあまり見受けられないのではないでしょうか。変わってきた親子関係の中、子どもの自立をどうとらえ、かかわってゆけばよいのか、臨床心理学がご専門の田中陽子先生にお書きいただきました。  実は、別れにもコインのように表と裏の2つの意味があると思う。表面は離れることである。これには、慣れた人、慣れた場

スキ
11

一期一会の光(神野紗希:俳人)#出会いと別れの心理学

五七五で、様々な時代の様々な人々の、多彩な心模様をくみ取ってきた俳句の世界。俳人の神野先生に出会いと別れの俳句をテーマに、この状況下で思うことをお書きいただきました。 「であわなければ、よかったのに!」  保育園まで、大人の足で歩けば10分ほどで着くはずなのですが、5歳の息子と一緒だと、30分以上かかります。やれ蟻がいた、やれたんぽぽが咲いていると、5mごとに興味をひくものがひしめき、なかなか歩が進みません。時計を見てはらはらしている母をよそに、息子はうれしそうにたんぽぽの

スキ
10

金子書房 心理検査室

こんにちは! 金子書房心理検査室です。みなさまは、心理検査についてどのようなイメージをお持ちですか? このマガジンでは、みなさまに心理検査を知っていただくために、基礎から活用例、最前線の視点まで、さまざまなトピックを発信してまいります。ぜひご覧ください!

発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用するために【後編】「認知-行動」と「今と未来」をつなぐ視点(明翫光宜:中京大学心理学部 教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室

 本特集では、発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用する視点について解説しております。【前編】は投映法の考え方について解説いたしました。【後編】は、発達障害臨床における投映法の活用の仕方について、読者の皆さんは専門家に限らないということを念頭におきつつ、紹介していきます。 投映法解釈における発達臨床的視点  まず前回のおさらいから出発いたしましょう。投映法における解釈という意義では以下の2点にまとめられます。ここでは、発達障害臨床で必要な視点を筆者なりに追加しました。解釈

スキ
14

発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用するために【前編】投映法を正しく理解する(明翫光宜:中京大学心理学部 教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室

 今回、発達障害臨床中で投映法によるアセスメントが提供する情報を私たちがどう活用していけばよいかについて解説することになりました。投映法は専門家間でも、誤解を受けやすい技法になっています。そこで【前編】として、よくある誤解を解きつつ、改めて投映法とは何かについてお話します。 心理アセスメントとは? 読者の皆さんが相談者(以下、クライエントと表記します)として医療機関・相談機関にて「次回いらっしゃったときに心理検査を受けましょう」と言われたら、どんな気持ちになるでしょうか? 

スキ
20

【第3回】最近のロールシャッハ・テスト事情(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室

 このシリーズも折り返し地点に入りました。これまでは、心理検査の基本的な概念や位置づけ、信頼性・妥当性などの理論的なお話が主でしたが、これからは少し実際的な内容に触れていくことにします。そこで、最近の心理検査事情をテーマに取り上げることにしました。わけても今回は、心理臨床場面において使用頻度の高いロールシャッハ・テストに焦点を当てます。この記事では、アメリカにおいて隆盛と衰退、そして復活を経験したこのテストの歴史を振り返るとともに、テストが今後どのような方向を目指していくのか

スキ
23

“発達障害”をアセスメントするということ(桑原 斉:浜松医科大学精神医学講座 准教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室

 今回、「“発達障害”をアセスメントするということ」というお題をいただいて、所感を述べることになりました。そこでまず考えたのは、誰が何の目的でアセスメントするのか?ということです。多分、立場によって求められるアセスメントは異なるのではないかなと思っています。自分は医療機関に所属する医師なので、医師のプロフェッションに沿って、アセスメントをします。なので、まず、医療機関で“発達障害”をアセスメントするということについて話します。とはいえ、それだけでは支援には不十分なので、医療機

スキ
39