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休業期間中の先生が教えてくれました 「だらだら生活」からの脱却 ―我が家の反省から― ~授業のユニバーサルデザインの味をご家庭で③~(日本授業UD学会湘南支部長)

大好評の連載「授業のユニバーサルデザインの味をご家庭で」の第3回が公開です!

今回は、
・とても大切だけれど見落とされがちな時間の使い方
・やっぱり加減が難しい子供の褒め方
・そしてその子のやる気を引き出す方法
について、その方法や仕組み、そしてポイントをご寄稿いただきました。

科学的な裏付けによるアドバイスの数々をご紹介いただいていますが、難しい用語はでてきません。今回も取り入れやすい方法がわかりやすく凝縮されています。ぜひあなたのご家庭でも味わってください!

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はじめに

 私は、公立小学校の教員です。皆様のご家庭と同じように、我が家でも子供たちと一緒に自粛期間を過ごしています。
 先日テレビで、某有名作家さんが、次のように発言していました。

 「我々、もの書きはそもそも、ずっとテレワークだから、自粛期間がそんなに苦じゃないんだよね。でもね、テレワーク専門家として言える、テレワークの最大の弱点は、『明日あるから、まぁいっか』と考えて、だらだら生活になっちゃうんだよね。」

 恥ずかしながら、この発言を聞き、私はドキッとしました。ぼーっとテレビを観ていた私。ソファーで寝転ぶ子供たち。まさに我が家は、この「だらだら生活」に陥っていたからです。

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 ネット上では、「勉強に遅れは出ないか」「受験はどうなるの?」などの学習面での不安、「家庭での言い争いが増えた」「子供のストレスをどう発散させるか」「毎日声をかけないと何もしません」「だらだらして、学校がはじまったらやっていけるか心配です」といった家庭での過ごし方での不安な声を目にします。
 我が家も振り返ってみると、「だらだら生活」に陥り、親が声を掛ける、いや怒鳴ることがいつしか増えていました。

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 このままではいけない!! そう思い、この時を境にあることを実践するようになり、「だらだら」生活から脱却することができました。その取り組みをご紹介できればと思っています。
 もちろん、各ご家庭にはそれぞれの考え方やり方はそれぞれ違いますので、ご参考程度になさってください。

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「だらだら生活」からの脱却

 我が家がまず取り組んだことは、家族全員の時間割、「家族時間割」を作るというものでした。多くのご家庭では、子供たちの時間割を作っていらっしゃると思います。
 我が家の違いは、子供だけでなく親自身も自分の一日を時間割で計画するということです。
 この写真は、我が家のある日の「家族全員の時間割」です。土日祝日以外の日に、「家族時間割」を作り、実践するなかで感じたよさをご紹介します。

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(1) 生活リズムが整い、情緒面が安定しはじめる

 不思議なことに、この「家族時間割」を実施してからは、親と子供内での無駄な言い争いが自然と減り始めました。さらに、子供たちの寝る時間も早くなってきました。それは、一日のスケジュールを自分で計画することで「規則正しい生活」を送ることができるようになったからです。

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 ある脳外科の先生は、「規則正しい生活」を「脳から出るホルモンの働きに合わせた時間の過ごし方(生活)」と言い換えて説明されています。心の安定に深く関係しているホルモンとして有名なのが、「幸せホルモン」や「成長ホルモン」です。

 「幸せホルモン」と言われているセロトニンは、気分や感情のコントロール、精神の安定に深くホルモンです。規則正しい生活や軽い運動、太陽光を浴びることで増えるといわれています。
 「成長ホルモン」は、睡眠時に分泌されるホルモンで、身体をメンテナンスしてくれる働きがあります。睡眠が十分でないと、疲れが取れない体になったり、起きることができなくなったりするのは、「成長ホルモン」が十分に分泌されていないからです。

 我が家の無駄な言い争いは、もしかするとこの生活のリズムの乱れからくる情緒の不安定さが原因だった可能性もあります。「だらだら生活」中は、よく子供たちに「そんなにイライラするなら、外で走ってこい!!」と怒鳴っていましたが、理由は運動不足ではなく、「ホルモンの働きに合わせた生活を送っていなかったから」かもしれません。

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(2) やるべきことが視覚化されることで、「安心感」と「主体性」が高まる

① 子供たちのイライラは〇〇サイン?

 親として一番気になる子供の姿は、イライラしている我が子の姿ではないでしょうか。「子供たちのイライラは一体何のサイン」でしょうか。

 私が学校生活で子供たちと接する中で感じる子供たちのイライラは「不安感」や「困り感」のサインの場合が多いです。
 日々の学校生活の中でイライラを態度で表している子供の中には、「何をしたらよいか実はよくわからず困っていた」「やることはわかっているけど、何からやればよいか順番がよくわからず不安だった」とうものがありました。
 学校休業期間には、たくさんの課題が学校から出されたと思います。親から声を掛けないとやらないお子さんの中には、実は「何からやってよいか困っている」「何をやるのかよくわからない」「今日はどこまでやればよいかわからない」から、やらないのではなく「できずに困っている」「どうしらいいかパニックになっている」可能性があります。 

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② Aさんに教えてもらった「不安」のもと

 かつて私が担任させていただいたAさんは、学校では礼儀正しく授業中もよく発言する活発なお子さんでした。ある日お家の方から相談を受けました。何回言っても家ではさぼって、注意すると大げんかになるというものでした。Aさんやお家の方、専門機関と相談する中でわかったことは、家に帰ってからは、何をすればよいかわからないことが多く、困って(イライラして)いたということでした。学校では「時間割」をみれば何をするのかわかるから、困らないそうです。
 つまりAさんは、「さぼっていた」わけではなく、「何をしてよいかわからないから困っていた」ということでした。

 そこで、お家でホワイトボードに、Aさんがやらなければいけないことを、毎日書いてもらうようにしました。お家でさらにわかったのは、Aさんはやることが沢山あると、どれから始めてよいか混乱してしまうことでした。

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 実はAさんのように「さぼっている」「だらだらしている」ように見える子供たちの中には、「何をすればいいのか」「どの順番でやればよいのか」「どこまでやればよいのか」がはっきりわからず困っている子供が少なくありません。何をするのかを視覚化するだけで、子供の取り組む意欲は大きく変わります。

③ 時間割(やるべきこと)は個人に応じて、お家の方と一緒に設定するのをおすすめします

 「やること」や「どこまでやればよいのか」は、子供に応じたお家の方のアドバイスも必要になってきます。ただし、最終決定は子供にさせてください。親が良かれと思っても、子供が納得していなければ、やる気がでないことが多いからです。

 自分で決めたことは、子供は進んで始めようとします。ただし、一人ひとりの集中できる時間には個人差があります。学校のように一人で45分、50分間取り組むには無理があります。家庭での1時間は小学生であれば、20分~30分程度で十分です。
 課題を早く終えて時間のある時は、ご褒美の時間として、残りは本読みの時間、ネットの動画で復習の時間など、子供たちのやる気がさらに高まる時間にされるのもよいと思います。がんばりに対しご褒美があるとやる気はさらに高まります。
 予定していた課題が終わらない時は、
「終わらなかったか。そうか。でも、できるところまでよくがんばったね。」と言って、次の活動へ気持ちを切り替えてあげることが大事です。「終わらなかった結果よりも、がんばったプロセスを認め、価値づける」ことで、次からの意欲へとつなげることができます。

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④ 子供の好きな時間も時間割に設定する

 また、我が家の時間割にもありますが、絵を描くことが好きなお子さんには、苦手な教科をがんばった後に、大好きな図工の時間を2時間設定するなど子供のやる気が高まる設定になるよう、一緒に考えてあげるのも大事なことだと思います。

 ちなみにですが、息子の4時間目は「家庭科」と称し、自分の服の整理をしていたようです。この日、私は午前中、学校で仕事をしていましたので、帰ってきてから、彼のタンスをこっそりみました。確かに、きれいに服が整頓されていました。また、彼は毎日10時半から家の近所を20分間ランニングする時間を設けています。これも立派な体育の学習です。

 何もプリントの問題を解くことだけが「学習」ではありません。自分の好きなことや興味のあることを時間割のなかに設定することも私は大賛成です。

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(3) みんながやっているから自分もがんばれる

人の行動の基準は

ある心理学者は、自分の行動を決める意外な基準「自分がやりたいかどうか」よりも「隣の人もやっているから」だと述べています。学校で子供たちが一生けんめい勉強するのも実はこういった心理が働いているのかもしれません。我が家で取り組んでいる「家族時間割」の機能したポイントはここにあります。
 子供だけが時間割を作って、その横で親がソファーに寝そべってスマ―トホンを触っていては、当然「だらだら生活」になってしまいます。最初にお話しした我が子たちがソファーで寝転がっていたのは、その近くでテレビをボーッと観ている私が原因だったかもしれません。

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やる気に火をつける親の一言

 子供たちのやる気に火をつけるために、私が実践していることがあります。それは、「めちゃくちゃ英語の字きれいだね。」「このグラフきれいにかけているね。」「この前より、ノートまとめる枚数増えてるね。」「きれいに字をそろえて書けている。」など、何気ないことをさりげなく、褒めるということです。
 長々と褒めていると、そのうち、欠点や課題についても言いたくなるのが親の心情です。できれば、1時間に一回、短く褒めることで、子供たちのやる気は驚くほどあがります。

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最後に

 「家族時間割」を実践し始めて気づいたことは、子供たちは家にしかいられないから、自由に本人の思う通りにさせてあげたいなと思っていた親心は、実は、子供の生活リズムや情緒を不安定にさせる原因だったのかもしれないということでした。我が家の反省話が、お読みくださったお家の方、子供たちの幸せにつながればと願っております。

(執筆者プロフィール)

日本授業UD学会湘南支部長
日本授業UD学会湘南支部について:日本授業UD学会湘南支部は、「すべての子どもたちの笑顔あふれる学級創り」「すべての子どもたちの笑顔あふれる人間関係創り」「すべての子どもたちの笑顔あふれる授業創り」をコンセプトに神奈川県の湘南地区に拠点をもつ支部(HPより)。特別支援の理論や技術を取り入れた通常学級での授業の在り方、教育の在り方を追究している。

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