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概念を捨てよ,システムを見よう:心理ネットワークアプローチへのいざない(東洋大学社会学部社会心理学科助教:樫原潤) #心理統計を探検する

ここ十数年の臨床心理学では,ネットワークモデルという新たな発想の統計モデルを駆使した心理ネットワークアプローチが目覚ましい発展を遂げています。心理学における様々な現象を一種の「システム」「ネットワーク」と捉え,数量データ解析によってその特徴を解明していくこのアプローチは,いまでは臨床以外の心理学の諸分野どころか,精神医学をはじめとした関連諸学にも大きな影響を及ぼすようになりました。

本記事では,この心理ネットワークアプローチの概要や画期性について簡単な解説を示すとともに,さらなる学習に向けたリソースを共有していきます。



心理ネットワークの一例

この記事を読んでくださっている方のなかには,心理ネットワークアプローチというのが初耳という方も多くいらっしゃると思います。百聞は一見に如かず。以下に示したのは,このアプローチで扱う「ネットワーク」の一例です。

心理ネットワークの一例。PTSDの女性患者359名分から質問紙法で収集した横断データをもとに,本記事の執筆者自ら推定と作図を行った。データや推定・作図方法についてのさらなる詳細は,下記リンク先の論文を参照 (……などと偉そうに書いていますが,オープンデータを使って既存のチュートリアル論文の指示通りに分析しただけなので,誰でも同様の図を作れます)。

上記のように,「たくさんの円 (ノード) がたくさんの線分 (エッジ) で接続されてできる,ひとつの網の目構造」のことを「ネットワーク」と呼びます。上記のネットワーク図の場合,一つひとつのノードは,全17種類あるPTSDの個別症状 (全17項目ある質問紙尺度に含まれる,一つひとつの項目) を表しています。また,一つひとつのエッジは,個別症状 (項目) 間の偏相関 (その他すべての項目を統制したうえでの相関) を表しています。エッジの太さは偏相関の強さ (絶対値の大きさ) を反映しており,エッジの色は偏相関の正負を表しています (青いエッジが正の偏相関,赤いエッジが負の偏相関)。

このネットワーク構造のレイアウトは,関連の強いノードのペアを近くに配置するようなアルゴリズムに基づいて決定されており,「3番の症状 (驚愕反応のしやすさ) と4番の症状 (過剰な警戒状態) には密接な関連があるようだ」ということが一目でわかるようになっています。

こうしたネットワークというものの見方を導入することで,心理現象を「多様なコンポーネントが相互作用して維持される,ひとつのシステム」として捉えることが可能になります。従来の心理学研究では,「多様なコンポーネントをまとめた概念に着目する」というやり方が定着しており,「17項目を単純加算してできる『PTSDの重症度』」のような概念に着目して研究を行うことが常態化していました。これに対して,上記のネットワーク図には「概念」と呼ぶべきものは一切登場しません。一切の概念を排し,「観測変数」と「変数間の関連」のみに基づいて心理現象を捉えようとしている点に,心理ネットワークアプローチの大きな画期性が認められるでしょう。


心理ネットワークアプローチ誕生の背景:「心理統計学×臨床心理学×ネットワーク科学」の化学反応

通常,心理統計学のモデル開発は「既存のモデルにさらに磨きをかける」というやり方で発展していきます (例:誤差分散をさらに細かく分割する,ランダム切片の項を追加する)。これに対して,心理ネットワークアプローチは,心理学で長らく常識となっていた「多様なコンポーネントをひとまとめにして概念を作り出す」というやり方を根本から覆すところからスタートしています。この破壊的なまでの発想の転換がどのようにして実現されたのか。その背景には,「心理統計学×臨床心理学×ネットワーク科学」の奇跡的な化学反応がありました。

まず,心理ネットワークアプローチの誕生を語る上では,アムステルダム大学の心理統計学者Denny Borsboom (デニー・ボースブーム) の存在が欠かせません。彼は,博士論文までの研究で「心理測定における『妥当性』とは一体何なのか」という,根本的な問いに挑み続けました。彼の論文は哲学的かつ難解なのですが,だからこそ人を惹きつけるものがあり,Psychological Methodsなどの学術雑誌でも大きな注目を集めました。私自身,彼の論文を完全に理解できた自信はないのですが,「多様なコンポーネントをまとめて概念 (潜在変数) を作り出す」という心理学の営みは原理的に無茶だという主張がひしひしと伝わってきて,ここまで真摯に心理測定に向き合っているその姿勢に感銘を受けました (以下,Dennyのホームページと,彼の著書の日本語訳のリンクを貼っておきます。彼のカリスマ性の一端でも伝わることを願いつつ……)。

次に,Dennyの活躍しているオランダでは「高度なデータ解析を駆使した臨床心理学」というあり方が従来から活発であり,そうした土壌が心理ネットワークアプローチの開発に寄与したとみておそらく間違いないでしょう。メンタルヘルス関連のメタ分析ならなんでもござれのPim Cuijpers (ピム・カイフペルス) も,大規模患者データの二次解析に基づいてうつ病の不均質性 (heterogeneity) について議論したEiko Fried (アイコ・フリード) も,みなオランダの研究者です。あくまで私の想像となりますが,オランダという小さな国ではアメリカのように「サンプルサイズの大きい臨床試験をどんどん実施する」というわけにもいかず,代わりの武器を持つために「高度なデータ解析を駆使した臨床心理学」というあり方を早くから身に付けていったのではないかと思っています。

最後に,心理ネットワークアプローチが誕生するよりも前に,「ネットワーク科学」というものが様々な学問分野を巻き込んで学際的に発展していたという背景がありました。「何かの現象をネットワークとして捉える」という観点は非常に汎用性が高く,だからこそ社会学・物理学・生物学・コンピュータ科学……など多彩な分野でネットワークアプローチが応用され,それが心理学分野にも波及したといえます (ネットワーク科学を学ぶための入門書としては,下記がおすすめです。グラフィックからしてわくわくします)。

たとえば,社会ネットワーク研究の「6次の隔たり」という話を聞いたことがあるでしょうか? 「知り合いの知り合い」をたどるという,人と人の数珠つなぎを繰り返していくと,実は6ステップの数珠つなぎを繰り返すだけで世界中のすべての人々がひとつにつながってしまうという話です。また,新型コロナウイルスが流行し始めた頃には,「感染者の濃厚接触者を追跡してクラスターをつぶす」とか「このままの社会生活を続けていると,〇日後には感染爆発が起きてしまうというシミュレーション結果が出た」といった話題をよく耳にしたことと思います。これも,「感染症の伝播」という現象をひとつのネットワークとみなし,予測や制御に役立てようとした一例と言えます。

そして,「心理統計学」「臨床心理学」「ネットワーク科学」という3つの文脈を融合させたDennyの発想力がすさまじかった。。。本当もう,頭の中どうなってるんだろうって思います。ただそれも,Dennyが「心を概念化するだけで本当にいいのか? それで心を測れているのか? 」という息の詰まりそうな問いにとことん向き合い,心理学者が本来大事にすべき「人の役に立つために研究する」という目標を見失わず,他の学問分野にもしっかりとアンテナを張った賜物といえるでしょう。

この「ネットワーク」というものの見方を採り入れるだけで,心の問題のリアルに肉薄することが可能になります。たとえばPTSDの患者であれば,「PTSDの重症度」という概念のせいで苦しんでいるのではなく,悪夢,イライラ,睡眠障害……などと多岐にわたる症状の連鎖で苦しんでいるはずです。本来は複雑であるはずの人間の心模様を正確に捉えるために,これまで慣れ親しんだ「概念を作り出す」というやり方を捨てて,「複雑な心を複雑な形のまま理解する」というアプローチに果敢に挑戦している――その点にこそ,心理ネットワークアプローチの最大の面白みがあると言えます。


心理ネットワーク分析のバリエーション

心理ネットワークアプローチの創始者Denny Borsboomは,アムステルダム大学でPsychoSystemsという研究チームを立ち上げ,実データに基づいて心理ネットワークを推定するための方法論やツールを急速に整えていきました。以下では,そのチームが具体的にどのような分析を生み出したのか,「横断データ分析」と「時系列データ分析」の2種類に大別した簡単に紹介したいと思います。

横断データ分析

まず,横断データ (多くの人数から1時点で収集したデータ) では,「平均的な人がもつ,症状なら症状のネットワーク構造」を可視化することができます。上記で図示した「PTSDの女性患者359名についての症状ネットワーク」がその一例です。

ネットワークを図示するだけでも豊かな議論ができてとても興味深いのですが,さらに踏み込んで,中心性指標と総称される指標を計算することで,「個々のノードがネットワーク内でどの程度中心的な役割を担っているか」を数量的に検討することが可能になります。たとえば,「PTSDの女性患者359名についての症状ネットワーク」について中心性指標を計算すると,以下のようなプロットが得られます。

中心性指標のプロットの一例。「PTSDの女性患者359名についての症状ネットワーク」をもとに,本記事の執筆者自ら各指標を計算して作図した。縦軸はノード番号を表し,横軸は各中心性指標の大きさ (z値) を表す。

この図のStrength (強度),Closeness (近接性),Betweenness (媒介性) というものが何を意味するかという説明は省きますが,とにかく,「数あるノードのなかで,特に中心的といえるものはどれか」という検討が可能になるというわけです。この場合なら,3指標すべてで大きい値を示した3番 (驚愕反応のしやすさ) と17番 (動揺するような考え・イメージ) のノードが特に中心的といえるでしょう。

もちろん,こうした中心性指標に関する議論も日進月歩であり,最近では「近接性と媒介性という2指標は,心理ネットワークの場合に理論的にそぐわないので,別の適切な中心性指標を開発するなど対処を考えた方がいいのではないか」等の指摘もなされるようになりました。ここで紹介しているやり方が万能とは言えませんが,一連の分析を通して「ネットワーク全体の特徴についての大域的 (global) な検討」と「個々のコンポーネントが果たす役割についての局所的 (local) な検討」の両方を実現できるというのは,心理ネットワーク分析がもつ大きな魅力のひとつといえるでしょう。

時系列データ分析

ネットワーク分析は,横断データのみならず,1人もしくは複数の人から反復的に収集した時系列データにも適用することができます。まずは,N > 1の場合の時系列データから推定されたネットワーク図を見てみましょう。赤いノードで表されているうつ病の個別症状と,青いノードで表されている各種のネガティブ思考の関連が2種類のネットワーク図で表現されています。

時系列データに基づいて推定されたネットワークの一例。111名の大学生を対象に,1日3回,3週間にわたって経験サンプリング法で測定したデータに基づく。下記リンク先のオープンアクセス論文に掲載されているFig. 3を引用した。

上記の左側にあるネットワーク図は,経時的ネットワーク (temporal network) と呼びます。この経時的ネットワークには矢印つきのエッジが示されていますが,これは「ある時点のある変数は,次の時点の他の変数をどれだけ強く予測するか」ということを表しています。たとえば,T4のノード (「私には良いところが何もない」という思考) について高得点が示された場合には,次の時点で「抑うつ気分 (Dep)」や「無価値観 (Wor)」といった,緑色のエッジ (つまり,正のエッジ) が刺さったノードが活性化しかねないので注意が必要である,といった議論が可能になるでしょう。さらに,抑うつ気分と無価値観からは「希死念慮 (Sui)」へと緑色のエッジが伸びていますので,患者の自殺を防ぐためには「『私には良いところが何もない』という思考 → 抑うつ気分と無価値観 → 希死念慮」という連鎖反応に注意すべきだ,といった臨床的な解釈を導くことができそうです。

また,上記の右側にあるネットワーク図は,同時性ネットワーク (contemporaneous network) と呼ばれ,先ほどの経時的効果をデータから除去することで得られます。この同時性ネットワークを参照すれば,「このノードが活性化しているときには,このノードも活性化しがちである」といった,同一時点における変数間の関連を検討できます。「つまり,横断ネットワークと同じようなものか」という印象を受けた方もいるかもしれませんが,横断データは「一人ひとりに特有の時間的変動 (例:気分の波) があり得るなかで,どのような時点を切り取ったかが不明確 (例:気分が高揚している時点を切り取られた人もいれば,沈んだ時点を切り取られた人もいるかもしれない) なデータを集積したもの」という厄介な性質があります。同時性ネットワークを参照すれば,横断データ特有のこうした厄介な性質に悩まされることなく,同一時点での 変数の関連をより精密に検討できるようになります。

さらに! 同様の分析は,N = 1の時系列データに対しても適用できます。つまり,「一人ひとりに個別の (personalized, individualized) 経時的・同時性ネットワーク」を推定することができるのです。そうした実例は,下記の論文から見出すことができます (オープンアクセスではないため,図を直接貼付することは控えています)。

Fisher, A. J., Reeves, J. W., Lawyer, G., Medaglia, J. D., & Rubel, J. A. (2017). Exploring the idiographic dynamics of mood and anxiety via network analysis. Journal of Abnormal Psychology, 126(8), 1044–1056.
https://doi.org/10.1037/abn0000311

N = 1の時系列データに基づいて一人ひとりに個別のネットワークを推定できるとなると,臨床心理学者にとって夢のある話が沢山拓けてきます。たとえば,時系列データを一定期間測定したうえでネットワークを推定し,実データに基づいて介入方針を定めていくという活用が考えられます。あるいは,何かの心理療法と経験サンプリングによる測定を継続実施し,「心理療法のどの要素が,どの症状にどれだけ効いたのか」を常にモニタリングすることで,個別性と実証性の両方を尊重した臨床実践が可能になるでしょう。このように,「数量データに基づき,介入をテーラーメイドしていく」という心理療法の新たな道筋がここから拓けていくはずです。


今後の展望

ここまで,心理ネットワークアプローチの概要と意義を説明してきましたが,なんだかんだ言ってもまだ発展途上のアプローチです。私個人が (そして,おそらくは世界中の心理ネットワークフリークが) 考えている今後の展望を,3つの観点に分けてお示ししたいと思います。

第1に,理論的・方法論的観点から考えると,ネットワーク科学全体と比べて心理ネットワークアプローチはまだまだ脆弱だと言えます。ここまでの話のなかで,感染症の拡大予測と制御のためにネットワーク科学が活用されてきたことを述べました。一方,心理ネットワークの場合は,「この患者はこういったネットワークを持っているので,今後こういった経過をたどるはずだ」という予測を立てることも,「このノードに優先的に介入すれば,大体このぐらいの期間で症状ネットワーク全体が沈静化するはずだ」といった制御のシミュレーションもできないのが現状です。ぜひ,計算論アプローチの研究者などとの協働のもと,ネットワーク科学に追いつけ追い越せで予測・制御のシミュレーション技術を発展させていってほしいものです。

第2に,臨床心理学的観点から考えると,こうした先進的アプローチを現場の臨床実践とどう融合させるのかが課題になるといえます。心理ネットワークアプローチがいくら発展したところで,セラピストもクライエントもその意義を理解していないのでは,臨床実践の現場で広まりようがありません。また,いきなり数量データ解析まで使いこなせる人材はそうそういないので,まずは「ネットワークというものの見方」を臨床に採り入れるための入り口的アプローチが必要になりそうです。こうした「入り口的アプローチ」として,私たちはプロセス・ベースド・セラピーという新たな枠組みに大いに着目しています。翻訳書も最近刊行されましたので,「心理ネットワークアプローチを臨床実践につなげていくための5ステップ」を議論したプレプリント論文と合わせてご覧ください。

第3に,臨床以外の心理学分野に携わる研究者にも心理ネットワークアプローチがどんどん広まってほしいと願っています。ネットワークというものの見方やそこから生まれるデータ分析手法は,臨床心理学に特化したものではなく,どの分野の数量データにも適用可能なはずです。たとえば,社会心理学の態度研究であれば,特定の集団や人物 (例:ドナルド・トランプ) への態度を「好き / 嫌い」の1軸に還元してしまうのではなくて,「『下品』ではあるが『力強い』など,様々なコンポーネントが入り組んだ複雑系」として捉えることで,研究の幅が広がってくるでしょう。実際,下記のJonas Dalege (ヨナス・ダレゲ) による論文では,心理ネットワークアプローチと態度研究を接続するというアイデアがまとめられています。ここでは「態度研究」を応用の一例として示しましたが,教育心理学・発達心理学・パーソナリティ心理学・犯罪心理学・感情心理学……といった各分野の方々ならもっと画期的なアイデアが思いつくはずです。そうした新たなアイデアと今後たくさん出会えることを,私自身大いに楽しみにしています。

Dalege, J., Borsboom, D., van Harreveld, F., van den Berg, H., Conner, M., & van der Maas, H. L. J. (2016). Toward a formalized account of attitudes: The Causal Attitude Network (CAN) model. Psychological Review, 123(1), 2–22.
https://doi.org/10.1037/a0039802

Dalege, J., Borsboom, D., van Harreveld, F., & van der Maas, H. L. J. (2017). Network Analysis on Attitudes: A Brief Tutorial. Social psychological and personality science, 8(5), 528–537.
https://doi.org/10.1177/1948550617709827


さらなる学習のためのリソース

本記事では,心理ネットワークアプローチがもつ「意義」や「面白さ」を解説してきましたが,データ分析も含めてこのアプローチを使いこなすとなると,さらなる学習や練習が必要となるでしょう。心理ネットワークアプローチをもっと学びたいという方のために,各種リソースを紹介しますので,ぜひ積極的にご活用ください!

まず,新しいアプローチを学ぶには体系的な入門書を読むのが一番です。現在手に入る入門書は "Network Psychometrics with R" のみですが,これが感動するほど行き届いた書籍となっています! 日本語版についても,『心理ネットワークアプローチ入門』という仮タイトルのもと,2024年5月ごろの刊行を目指して現在絶賛監訳中ですので,ぜひ楽しみにお待ちください! 

何かのアプローチを学ぶ際に,まずは日本語のレビュー論文を読まれるという方も多いのではないでしょうか。そうしたニーズをお持ちの方には,私がこれまでに出版したレビュー論文3編がおすすめです。順番に読み進めていただくと,このアプローチについての解像度が徐々に高まっている様子を楽しんでいただけることと思います。また,松本 昇 先生 (信州大学) からもコメント論文をいただいていますので,こちらもおすすめしたいです。「質問紙尺度だけではなく,認知課題も心理ネットワークアプローチに有効活用できないか」等の自由なアイデアが示されています。

現在のところ,心理ネットワーク分析を実施するうえではRという統計プログラミング環境を活用するやり方が主流となっています。Rを使い慣れていない方にとっては,日本語で記されたチュートリアル資料がきっと役立つことでしょう。私たちのグループでは,過去2年にわたって日本心理学会大会で心理ネットワーク分析のチュートリアル・ワークショップを開催し,その資料をnote記事にして配信しています。また,私の共同研究者である国里 愛彦 先生 (専修大学) の記事では,横断ネットワーク分析の実施方法がわかりやすくまとめられています。お手元のデータを使って,ぜひ心理ネットワーク分析をご自分でも試してみてください! 

学習のためのリソースがいろいろあっても,独りで根気強く学び続けるというのはなかなか大変です。また,「いますぐがっつり自習したい」というほどでなくても,興味のある人同士でつながって情報収集したい場合はあると思います。そういった方向けに,気楽な交流の場としてビジネスコミュニケーションツール Slack のグループ『Psych Networks Japan』を運営しています。下記のnote記事に概要や参加方法をまとめていますので,ぜひお気軽にご参加ください~。


付記

本記事は,下記の科研費課題の一環として執筆されました。

学術変革領域研究(B) 「ネットワーク解析による心理療法の高精細な作用機序の解明」 研究課題番号:21H05068 研究代表者:樫原 潤 研究期間:2021年8月~2024年3月

執筆者プロフィール


樫原潤(かしはら・じゅん)
・1988年生まれ,広島出身
・現職:東洋大学社会学部社会心理学科助教
・専門:臨床心理学

臨床心理学は「ハブ・サイエンス」だ!というモットーのもと,心理学の他領域のエッセンスや技術を採り入れた研究スタイルを大事にしています。大学院生やポスドクの頃には,社会心理学の潜在連合テストや反ステレオタイプ法を採り入れ,「うつ病のスティグマ (偏見)」について研究していました。現在は,心理統計学やネットワーク科学をルーツにもつ「心理ネットワークアプローチ」の研究に入れ込んでいます。うつ病や精神障害の多様性を尊重し,クライエント (患者) が抱える重荷を軽くするために,臨床心理学ができることはたくさんあると信じて日々活動しています。

経歴や業績など詳細は,下記ホームページをご参照ください。
https://junkashihara.wixsite.com/psychology

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