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連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第5回】自己決定を促す作文(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
不登校支援を始めた当初、学校復帰について考えあぐねていました。当時は、学校復帰が大きな目標とされていたのですが、私が勤務する教育支援センター(適応指導教室)では、学校復帰する子がほとんどいないという現状がありました。 「学校に戻りなさいって言われて行けるくらいだったら、こんなに苦労してないよ。」そんなふうに話す子もいました。教育支援センター(適応指導教室)で力を付けて、自分のタイミングで学校復帰を考えればいいと思っていたのですが、不登校の状態をなんとなく継続してしまう
精神障害診断におけるカテゴリ診断とその限界―診断横断的枠組みに基づく多次元アプローチ(大阪大学大学院人間科学研究科招へい研究員、株式会社国際電気通信基礎技術研究所研究技術員:岡大樹)
現代社会の問題となっている心の病は「うつ病」「強迫性障害」などと精神科医によって特定の精神障害として「診断」されます。その診断に基づいて、薬の処方や障害者手帳の交付が行われます。では、精神障害の診断とはどのように行われているのでしょうか? ある病院に精神的健康上の問題を抱えた2人の患者がいます。Aさんはうつ病、Bさんは社交不安障害と診断されました。しかし、2人とも常に何かを不安に感じており、夜眠れないといった共通症状を訴えています。この場合、この二人の病気を明確に区別しよ
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子どもの片耳難聴とコミュニケーション(群馬パース大学リハビリテーション学部言語聴覚学科:岡野由実) リレー連載:子どものことばとコミュニケーションを支援する
はじめに 私が言語聴覚士を目指した最初のきっかけは、中学生のときに自身の左耳が聞こえなくなったことでした。当時は言語聴覚士という職業があることは知りませんでしたが、様々な出会いを経て、言語聴覚士になることができました。資格取得後は地域の療育センターで様々なニーズのあるお子さんと関わることができ、言語聴覚士としてとても貴重な経験をすることができました。 この記事では「子どもの片耳難聴とコミュニケーション」をテーマに、言語聴覚士として片耳難聴の当事者として、私の経験や考えを書
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第4回】作文による自己対話がもたらすもの(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
教育支援センター(適応指導教室)で不登校支援を始めた当初、高校で再び不登校となり、退学してしまう卒業生の多さにショックを受けました。教育支援センターでは元気に活躍していた子どもたちです。高校を退学した理由も、中学校を不登校になった時と同じようなものでした。その子にとっての課題は解決されていなかったのだと痛感したものです。 「学びとケアの中間としての作文支援」に力を入れるようになって、子どもたちに大きな変化がありました。高校を中退する生徒が大幅に減ったのです。 作文による
私たち一人ひとりにできること(駒澤大学心理学科教授:藤田博康) 連載:「多方向への肩入れ」の心理学〜家族の苦しみと回復 第5回
前回は、「多方向への肩入れ」や「対話」による関係回復のプロセスの社会的な意義や可能性とともに、その限界についてもお話ししました。特に、「業」が深い家族や、ひどく拗れた関係において、「対話」による関係修復は専門家とて困難であることを、あえてお伝えしました。 この連載の最終回である今回は、そんな八方塞がりで絶望的な状況で、いったいどうしたら希望の光が見えてくるのかについて、私が思うことをお話ししてみます。 私たち一人ひとりにできること それでも、私たちにはできることがあり
文字の歴史から考える「視ながら触れて音読する」学習について(宮﨑言語療法室代表・言語聴覚士:宮﨑圭佑) リレー連載:子どものことばとコミュニケーションを支援する
はじめにはじめまして。私は言語聴覚士の宮﨑圭佑といいます。京都で読み書き障害を専門とした研究や教材開発をしたりしています。主に発達性読み書き障害(ディスレクシア)の方を対象としていますが、ディスレクシアだけではなく読み書きが苦手な人全てに幅広く関わらせていただいています。 私の読み書き障害に対する学習法は少し特殊です。文字を特殊なカタチで高く立体化した触読版を利用して「視ながら触れて音読」する「触るグリフ」という教材を用いた学習プログラムを行っています。粘土や砂文字など触