旅をした詩集(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第8回
どこかへ旅に出る時は、必ず、一冊か二冊、本を持って行く。やっぱり、紙の本がいい。とはいえ、荷物はなるべく軽くまとめたいので、選ぶのはたいてい文庫本か、四六判くらいまでの本になる。
最初の海外渡航となった、中国からロシア、ヨーロッパを巡った時の四カ月間の旅では、以前別の文章にも書いたが、ロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を持って行った。報道写真家の先駆けであった彼が、第二次世界大戦下のヨーロッパの戦地を旅して回った時の体験を綴ったこの本は、ユーレイルユースパスを利用して