ハウィーのこと(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第6回
旅に出て、行く先々で、大勢の人々に出会う。すべての人のことを憶えているわけではないけれど、そのうちの何人かは、時が過ぎても、姿や顔かたち、声色などを、ありありと思い浮かべることができる。
そんな風に憶えていられる相手は、人間だけに限らないのかもしれない。僕にとって、ハウィーがずっとそういう存在であるように。
米国アラスカ州の中部にある小さな町、タルキートナから、東に約20キロ。道路も何も通じていないツンドラの原野の只中に、カリブー・ロッジと呼ばれる場所がある。かつては