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【第1回】子ども時代と初めて日本に来たきっかけについて(作家・ウェブ開発者・写真家:ビアンカ・トープス) 短期連載:ASDのある女性がオランダから日本に移り住んだワケ
こんにちは、みなさん。私はビアンカ・トープスです。私は自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)です。オランダで生まれ育ちましたが、約2年半前に日本に移住しました。日本の方が私には合っているのです。このnoteの連載では、どうしてそう考えるようになったのかを説明したいと思いますが、まず、最初から始めましょう。 40年前、私は若い両親の最初の子どもとして生まれました。私が他の子どもと違うことに、最初の数年は両親もあまり気がつきませんでしたが
働く人のメンタルヘルスが損なわれた時(独法・労働者健康安全機構横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長/心療内科医:山本晴義) #働く人のメンタルヘルス
はじめに 「私は健康だ」と自信を持って言える方が、いったいどのくらいいらっしゃるでしょうか。そして、何をもって本当の健康と言えるのでしょうか。活き活きと毎日を過ごすためには、心身の健康、生活面の健康、社会的健康の3つの健康が必要だとされています(図1)。 心身の健康 病気やケガをしていなければ、検査をして異常がなければ、それでいいということではありません。身体だけが健康でも、心が健康でなければ、健康とは言えないのです。「心身相関」という言葉があるように、心と身体はつなが
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【特別寄稿】いじめについて改めて考える――いじめによって命を落とす子どもをなくすために(東京経済大学現代法学部教授・弁護士:野村武司) #子どものいじめ被害をなくすために私たちができること
いじめは理解されているか? いじめに当たるか否かの判断は、いじめられた児童生徒の立場に立って行う――最近では、ずいぶんと浸透してきており、「いじめとは何か」を問うと、たいていの人はこのように答える。他方で、現場に耳を傾けてみると、(いじめと認められないことに対して)「いじめられている側が『傷ついた』と言えばいじめではないか」との主張がなされたり、逆に(この程度でいじめになるのかという思いなどから)「相手がいじめだと言えばいじめになるのか」と疑問が投げかけられたりすることがあ
トラウマ&バイオレンス・インフォームドケアの視点~支援の言葉や文化をケアフルなものにするために~(大阪大学大学院:大野美子、国立精神・神経医療研究センター:片山宗紀) #心理学と倫理
1960年代、ヘロインの使用に苦しむアメリカ人は、新たな治療法の登場に大きな期待を寄せていました。 メサドン維持療法と呼ばれたその画期的な技術は、それまで苦しみに耐えながら断薬するしかなかった人たちに、人道的で、合理的な、新たな選択肢を提供しました。ヘロインと同じ合成オピオイド薬に分類され、長期作用型の薬剤であるメサドンを継続的に経口摂取することにより、オピオイド使用に悩む人たちは何ら問題なく社会生活を営むことができると、1965年の衝撃的な論文で発表されたのです。
【特別寄稿】いじめが子どもたちの心をいかに傷つけるのか(東京医科大学精神医学分野准教授:桝屋二郎) #子どものいじめ被害をなくすために私たちができること
はじめに 令和4年度のいじめ認知件数は681948件であり、令和3年に引き続き過去最高を記録しました(文献1)。令和2年度の認知件数の減少は新型コロナウイルス感染症による休校やステイホームが影響していると目されており、いじめ問題が根本的に解決に向かった結果ではないと考えられています。実際に全体の認知件数が減少したにも関わらず令和2年度の「ネットいじめ」件数は過去最高を記録しており、いじめ問題が社会情勢に影響されて変化していく様相も確認されています。 国立教育政策研究所によ