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【総合案内】金子書房noteのガイド
金子書房公式noteへようこそ。
訪れてくださり、ありがとうございます。
このガイドでは、私たちのnoteをご案内します。
これらを知っていただくことができます。簡潔なご案内ですが、ぜひご参考になさってください。
noteを通じて、読者の皆さまへ有益な情報をお届けし、皆さまと交流ができ、そして願わくば私たち金子書房のことも知っていただけたら嬉しいです。
はじめに▼ 私たち金子書房の自己紹介
人生の転機における友人関係(福岡県立大学教授:吉岡和子) #転機の心理学
人生において友人関係が変わるとき,どのようなことが起こるのでしょうか。また,そのとき私たちは何を大切にするとよいのでしょうか。
皆さんが,友人関係が変わったと最初に感じたのは,何歳頃ですか?小学校入学後に感じた方もいるかもしれませんが,多くの人は高校卒業時に,進学や就職などで大きな転機を迎えたのではないでしょうか。また,友人関係から恋愛関係に発展し結婚する人もいれば,恋愛関係が終わった後に
幼少期における子どもの転機-家庭から集団状況へ-(東京大学教授:遠藤利彦) #転機の心理学
人生における初めての転機 言うまでもなく人は生涯過程において、様々な転機に遭遇し、その度ごとにある環境から次なる環境へと移行を余儀なくされる。その移行は、個に、時に不安などの耐えがたい負の感情をもたらすものであると同時に、それまでに経験したことのない愉悦などの正の感情や新たな飛躍と成長の機会をもたらすものでもある。多くの子どもにとっての最初の人生移行、おそらく、それは家庭内の限られた人間関係によっ
もっとみる青き氷河の底へ(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第9回
昨夜まで降り続いていた雨に、森は、しっとりと濡れていた。
朽ち果てた木々や岩の表面は、形も色もさまざまな地衣類にみっしりと覆われていて、大気は、無数の小さな生命が囁いているような気配に満ちていた。ここ南東アラスカの一帯に広がる温帯雨林は、地球上に残る温帯雨林の約三割に相当する面積を占めている。
黒々とした葉を茂らせている針葉樹林の間を縫うように奥へと続く、一本のトレイルを辿って歩いていく。木
能力主義は「良いこと」もしたのか(組織開発コンサルタント:勅使川原真衣)
『「能力」の生きづらさをほぐす』はどのようにして生まれたか――まずは『「能力」の生きづらさをほぐす』をご執筆された経緯についてお聞かせください。
ありがとうございます。皆さんもそうだと思いますが、小さいときから私という人間の「評価」をいろいろと受けてきますよね。「人となり」や「能力」などと一見するともっともらしく語られるものの、それって能力の「評価」なんていう大そうなものではなく、案外、「受け
カミングアウトと転機(文化人類学者:砂川秀樹) #転機の心理学
転機との二つの結びつき 同性が好きなこと、同性パートナーがいること、異性も同性も好きであること、あるいは、生まれたときに割り当てられた性別と異なる性自認をもっていること、そうしたマイノリティ性のあるSOGI(性的指向、性自認)に関連することを誰かに伝える動機、きっかけは実に様々だ。
しかし、LGBTQ*にとって、そうしたカミングアウトが重要な意味を持つことは間違いない。自分のSOGIをオープン
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第6回】不登校だった先輩から後輩へのメッセージ(スクールカウンセラー:林千恵子)
教育支援センター(適応指導教室)を巣立つ前の3月に、中学3年生に最後に書いてもらう作文があります。不登校の後輩へのメッセージです。
「自分も通い始めた頃は、この先どうしていいか分からなくてつらかった。」「(後輩は)自分の人生は終わったと思ってるんだろうな。」「少しでも後輩の役に立つならば。」と、どの子も二つ返事で引き受けてくれます。自分の歩んできた道のりを振り返っているような表情です。
紙に書
個人と世界の転換期(東京大学・国際日本文化研究センター名誉教授:末木文美士) #転機の心理学
個人の転換期――四住期の捉えなおし 2020年3月、ちょうどコロナで緊急事態宣言が発せられる直前に京都から東京に引っ越した。京都に11年住み、そのまま終の棲家にしたいという思いは強かったが、老齢の身には気候が厳しく、結局東京に舞い戻ることになった。
それから約3年間、コロナで禁足状態が続いた。退職した身で、授業や会議の義務はなかったので、その点では影響は小さかった。研究会や学会がすべてオンライ
大災害という望まぬ転機に(東北大学大学院教育学研究科教授:若島孔文) #転機の心理学
転機、変動、変化。私たちは現在が苦痛であっても、現状を変えた未来を望まない傾向にある。それはなぜか。現在は苦痛を伴うものであったとしても想定内であり予測可能である。一方で、変化後は未知数であるからだ。私たちは苦痛も望まないが、それ以上とも言える望まないことが未知数の世界である。大災害は苦痛と同時に未知数の世界を私たちに突き付けてくる。私たちが望まない世界がそこにある。
ウィーンの精神科医ヴィ
発達障害の当事者としての転機〜あるいは休職のすヽめ〜(京都府立大学文学部准教授:横道誠) #転機の心理学
2019年3月、不眠障害がきわまり、鬱状態が深まっていた私は、大学を休職することに決めた。以前から「もしや」と疑っていた発達障害の検査を受け、休職を始めた4月に発達障害の確定診断を受けた。
勤め先の同僚たちにも、休職をした経験のある教員は何人かいたものの、じぶん自身がそのようなことになると想像したことは、過去に一度もなかった。休職期間が始まってみると、時間があまりにゆっくりと進むのに驚いた。
連載「わだかまり」と「とらわれ」――過去を振り払う(精神科医:春日武彦) 第4回:執着と優先順位
死ぬのが怖い 昨年、恐怖をテーマにした本を書きました。その中では「死ぬのが怖い」とそれこそノイローゼ状態になっている人たちについても言及しました。
自分がいずれ死ぬと思うともうそれに圧倒されて何も手につかない。気分を変えようとか、何か楽しいことや面白いことで気をまぎらわせようとしても、全然上手くいかない。世の中の人たちが、死を気にせずに日々を営んでいるのが信じられない。もはや自分が変なのか、そ
ベイズ統計学を利用した仮説の評価(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科准教授:武藤拓之)#心理統計を探検する
1. ベイズで仮説を評価したい! 「心」というつかみどころのない対象をどうにかして科学的に探究しようとしてきた心理学は,自然科学よろしく,仮説検証のスタイルを採用することで大きく発展してきました。実際,心理学の論文のほとんどは,はじめに理論的な仮説を立てて,次にその仮説から導かれる予測が実際に得られたデータと整合的かどうかを統計的に判断して仮説を評価するという,いわゆる仮説演繹法を採用しているよ
未来を切り拓く:転機への適応とキャリア形成の秘訣(ユースキャリア研究所代表:高橋浩) #転機の心理学
何度も訪れる転換期 キャリア心理学における「転機」には、いくつかの考え方がありますが、ここでは人生の節目となるキャリアの転換期(transition)に焦点を当てたいと思います。転換期とは、ある発達段階から次の発達段階への移行を指します。例えば、キャリア心理学者のスーパーは、キャリアの発達段階を成長期・探索期・確立期・維持期・解放期の5段階に分けていますが、これらの各期の節目が転換期となります。こ
もっとみる旅をした詩集(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第8回
どこかへ旅に出る時は、必ず、一冊か二冊、本を持って行く。やっぱり、紙の本がいい。とはいえ、荷物はなるべく軽くまとめたいので、選ぶのはたいてい文庫本か、四六判くらいまでの本になる。
最初の海外渡航となった、中国からロシア、ヨーロッパを巡った時の四カ月間の旅では、以前別の文章にも書いたが、ロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を持って行った。報道写真家の先駆けであった彼が、第二次世界大戦下のヨーロ