- 運営しているクリエイター
記事一覧
自己を危険にさらす働き方への警鐘と対策(ハーゲン大学 労働・組織心理学科学科長:Jan Dettmers) #働く人のメンタルヘルス #金子書房心理検査室
自己を危険にさらす働き方 労働者に対する詳細な指示や厳しい監督を伴うテイラー主義的な管理(コマンド・アンド・コントロール, Drucker, P. F. 1988)から脱却し、その自律性と自己責任を重視する柔軟な労働組織形態(アジリティ、ニューワーク、ホラクラシー、目標による管理など)は、自らを現代の雇用者とみなす企業でますます一般的になっています。例えば、Googleのような企業は、目標と主要業
もっとみる大学生の読み書き困難を評価するRaWF(読字・書字課題)とRaWSN(読み書き支援ニーズ尺度):高橋知音(信州大学学術研究院 教育学系 教授)#金子書房心理検査室
大学生の読み書き困難を評価する検査の必要性 高等教育機関に在籍する発達障害のある学生の中で、限局性学習症(SLD)のある学生の割合は非常に小さくなっています。2020年度に実施された調査では発達障害全体で7,654人だったのに対し、SLDはわずかに222人でした (独立行政法人日本学生支援機構, 2021)。これは発達障害のある学生の2.9%です。アメリカの高等教育機関での調査結果から同様に割合を
もっとみる自己を危険にさらす働き方:Self-Endangering Work Behaviorという問題(横山和仁:国際医療福祉大学大学院 医学研究科 公衆衛生学専攻 教授)#金子書房心理検査室
柔軟な働き方のひろがり わが国では、少子高齢化による生産年齢人口の減少や育児・介護との両立などを背景に、働く人のニーズが多様化しています。政府は、雇用機会の増大や労働者が意欲や能力を十分に発揮できる環境づくりを重要な政策課題として捉え、個々の状況に応じて多様な働き方を選択できる社会の実現に向けた取り組みを掲げています。 また、テレワーク、副業、フリーランスなどの柔軟な働き方の推進、新しいワークス
【第4回(最終回)】心理検査の治療的な意味について(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室
心理検査の治療的活用の歴史1.投映法にみる治療的な試み
本稿でいう治療的活用とは、心理検査結果に基づいて援助方針を立てることを指してはいません。むしろ、心理検査にかかわる一連の業務そのものを治療的に用いようとする試みを意味しています。あまり知られていないことですが、こういった試みは今に始まったことではなく、投映法の領域では実に古くから実践されていました。2017年にヘルマン・ロールシャッハ(R
発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用するために【後編】「認知-行動」と「今と未来」をつなぐ視点(明翫光宜:中京大学心理学部 教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室
本特集では、発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用する視点について解説しております。【前編】は投映法の考え方について解説いたしました。【後編】は、発達障害臨床における投映法の活用の仕方について、読者の皆さんは専門家に限らないということを念頭におきつつ、紹介していきます。
投映法解釈における発達臨床的視点
まず前回のおさらいから出発いたしましょう。投映法における解釈という意義では以下の2点に
発達障害臨床のアセスメントに投映法を活用するために【前編】投映法を正しく理解する(明翫光宜:中京大学心理学部 教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室
今回、発達障害臨床中で投映法によるアセスメントが提供する情報を私たちがどう活用していけばよいかについて解説することになりました。投映法は専門家間でも、誤解を受けやすい技法になっています。そこで【前編】として、よくある誤解を解きつつ、改めて投映法とは何かについてお話します。
心理アセスメントとは? 読者の皆さんが相談者(以下、クライエントと表記します)として医療機関・相談機関にて「次回いらっしゃ
【第3回】最近のロールシャッハ・テスト事情(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室
このシリーズも折り返し地点に入りました。これまでは、心理検査の基本的な概念や位置づけ、信頼性・妥当性などの理論的なお話が主でしたが、これからは少し実際的な内容に触れていくことにします。そこで、最近の心理検査事情をテーマに取り上げることにしました。わけても今回は、心理臨床場面において使用頻度の高いロールシャッハ・テストに焦点を当てます。この記事では、アメリカにおいて隆盛と衰退、そして復活を経験した
もっとみる“発達障害”をアセスメントするということ(桑原 斉:浜松医科大学精神医学講座 准教授)#臨床家が本音で語る 発達障害アセスメント #金子書房心理検査室
今回、「“発達障害”をアセスメントするということ」というお題をいただいて、所感を述べることになりました。そこでまず考えたのは、誰が何の目的でアセスメントするのか?ということです。多分、立場によって求められるアセスメントは異なるのではないかなと思っています。自分は医療機関に所属する医師なので、医師のプロフェッションに沿って、アセスメントをします。なので、まず、医療機関で“発達障害”をアセスメントす
もっとみる【第2回】心理検査の信頼性と妥当性について(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室
今回は、心理検査の信頼性と妥当性という話題に焦点を絞ってお話ししたいと思います。信頼性と妥当性は、言うなれば心理検査における科学的基盤であり、非常に重要な考え方です。それゆえ心理検査を語るうえで避けて通ることはできません。少し込み入った話になるかもしれませんが、お付き合いください。
心理検査の成立要件
心理検査を成立させる要件のなかでも特に重要なのが、信頼性と妥当性が保証されていることです。
【第1回】心理検査の基本的な考え方(高瀬由嗣:明治大学 文学部心理社会学科 教授)#心理検査って何?#金子書房心理検査室
このシリーズは、これから本格的に臨床心理学を学ぼうと考えている方、あるいは現在、臨床心理学を学び始めたばかりの方を対象に、心理検査の基本について理解を深めていくことを目的とした企画です。
大学の学部で心理学全般の基礎的な考え方や方法をある程度学び、「さあ、これからいよいよ臨床心理学を専門的に学ぶぞ」という方が最適な読者です。もちろん、専門のコースに在籍する上級生の皆さんが読者として不向きである
心身の状態がすぐわかる『POMS』検査に迫る
65の質問に答える心理テストで世界共通で使用されている『POMS(ポムス)』検査。
「緊張」、「抑うつ」、「怒り」など7つの因子を同時に測定でき、多くのスポーツシーンで取り入れられている。さらに、それは健康や楽しむための運動にも有効である。
復員軍人の心の問題、
解明へ
心理学や行動学的側面からだけではなく、気分、感情、情緒などの主観的側面からのアプローチによって人の情動を理解できる『POM