個人差研究のための心理尺度の有効性―使用目的と内容―(福島県立医科大学助教:三枝高大) #心理統計を探検する
1. はじめに 現代のパーソナリティ心理学では,パーソナリティを始めとする心理学的構成概念に関する個人差を把握し,母集団の特徴を推測する個人差研究が行われています (e.g. 川本, 2023; 渡邊, 2018)。そうした研究で個人差を把握するために用いられる主な道具が心理尺度です。心理学的構成概念に関する個人差を把握するためには,多くの人々から心理尺度の諸項目への回答を得るという手続きが含まれます。Big Five Personality (e.g. 谷他, 2023)