「こころ」のための専門メディア 金子書房
連載 「わだかまり」と「とらわれ」~過去を振り払う
心の中にいつまでも輝く宝石のような思い出ばかりがあれば、それは素晴らしいことでしょう。しかし、実際には後悔や嫌な思い出、つらい記憶、どうしても消せない恨みなどが心を占め、離れない思いに苦しむ人は、とても多いのではないかと思われます。そのような思いへの対処法について、精神科医の春日先生に様々な事例を通して、お書きいただく新連載がスタートします。
【連載】流離人(さすらいびと)のノート
今までお書きいただいた記事が、常に好評を博していた山本高樹先生の連載が始まります。山本先生が、旅の最中に日記や思いついたことをいつも書き留めている紙のノートからのアイデアで生まれた、noteの連載エッセイです。
作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する
多くの不登校の子を支援してきた林先生は、子どもが作文を書くことで自分の心を見つめ、整理をつけ、不登校状態の解消につなげていく方法を考え出してきました。林先生が作文に注目するようになったきっかけ、具体的な指導方法など、林先生の作文での支援について書いていただきます。
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第6回】不登校だった先輩から後輩へのメッセージ(スクールカウンセラー:林千恵子)
教育支援センター(適応指導教室)を巣立つ前の3月に、中学3年生に最後に書いてもらう作文があります。不登校の後輩へのメッセージです。 「自分も通い始めた頃は、この先どうしていいか分からなくてつらかった。」「(後輩は)自分の人生は終わったと思ってるんだろうな。」「少しでも後輩の役に立つならば。」と、どの子も二つ返事で引き受けてくれます。自分の歩んできた道のりを振り返っているような表情です。 紙に書いても、パソコンやスマホを使っても、絵を描いてもOKです。それぞれが自分の思いを
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第5回】自己決定を促す作文(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
不登校支援を始めた当初、学校復帰について考えあぐねていました。当時は、学校復帰が大きな目標とされていたのですが、私が勤務する教育支援センター(適応指導教室)では、学校復帰する子がほとんどいないという現状がありました。 「学校に戻りなさいって言われて行けるくらいだったら、こんなに苦労してないよ。」そんなふうに話す子もいました。教育支援センター(適応指導教室)で力を付けて、自分のタイミングで学校復帰を考えればいいと思っていたのですが、不登校の状態をなんとなく継続してしまう
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第4回】作文による自己対話がもたらすもの(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
教育支援センター(適応指導教室)で不登校支援を始めた当初、高校で再び不登校となり、退学してしまう卒業生の多さにショックを受けました。教育支援センターでは元気に活躍していた子どもたちです。高校を退学した理由も、中学校を不登校になった時と同じようなものでした。その子にとっての課題は解決されていなかったのだと痛感したものです。 「学びとケアの中間としての作文支援」に力を入れるようになって、子どもたちに大きな変化がありました。高校を中退する生徒が大幅に減ったのです。 作文による
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第3回】学びとケアの中間としての作文支援の方法②(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
第二回では、「学びとケアの中間としての作文支援」の方法として、 1 宝探しのインタビュー 2 作文への思い込みから自由になり、自分なりの作文を書くこと 3 作文を介した三角形の対話 までをお伝えしました。第三回は、その続き、 4 作文の自己チェック 5 作文を講評し合い、他者の価値観に触れること についてお伝えします。 なお、事例については、個人が特定できないように、数名のエピソードを再構成しています。 1 作文の自己チェック 「作文を介した三角形の対話
再現性危機の社会心理学
今日の心理学は、過去の研究知見が再現されないという問題(再現性の危機)に直面しています。人間の行動を説明・予測する普遍的な命題を定立することを目的とする心理学が積み上げてきた研究成果は、砂上の楼閣に過ぎないのでしょうか。こうした問題に応えようと、心理学者たちは、過去の知見の再現可能性を確認する研究に取り組んでいます。本連載では、再現可能性をめぐる社会心理学の最新の知見を、三船恒裕先生にご解説いただきます。
第5回 ミルグラム服従実験(高知工科大学 経済・マネジメント学群 教授:三船恒裕)連載:#再現性危機の社会心理学
第二次世界大戦と社会心理学 戦争。人々が仲間と手を組み、敵対する集団の人たちに対して攻撃する。国家、宗教、人種、民族、集落、部族など、様々な集団の間で、また、人類の歴史上のかなり古くから、戦争という現象が観察されてきた。 なぜ戦争は生じるのか。これはとてつもなく大きな問いであり、その答えは様々であり、もちろん、まだ解き明かされていない部分もたくさんある。人々が他者と関わりあう中で働く心の仕組みを解き明かそうとする社会心理学では、特に初期の頃の研究は、第二次世界大戦の影響
第3回 ブレインストーミング(高知工科大学 経済・マネジメント学群 教授:三船恒裕)連載:#再現性危機の社会心理学
ブレインストーミングとは 筆者が好きな漫画のひとつ、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」にこんなひとコマがある。主人公の比企谷八幡(ひきがや・はちまん)が通う高校が、他校と合同でイベントをすることになり、比企谷はそれを手伝うことになる。他校との話し合いの場、合同イベントの内容を決めるためのアイディア出しをするところで、他校の代表が「じゃあ前回と同じくブレインストーミングからやっていこうか」と提案するのである。そして主人公はそのブレインストーミングという名の話し合いに
第2回 説得の技法:フット・イン・ザ・ドアとドア・イン・ザ・フェイス(高知工科大学 経済・マネジメント学群 教授:三船恒裕)連載:#再現性危機の社会心理学
大学生時代のある日の出来事 筆者が大学1年生か、2年生の頃だっただろうか、英会話学校への勧誘の電話がかかってきた。いつもならばすぐに断るのだが、「一度、教室までいらっしゃって説明を受けてみませんか?」という言葉にひかれてついつい新宿まで行ってしまった。着いたのは午後1時頃だったように思うが、教室を出たのは6時か7時頃、もう外は真っ暗だったのを覚えている。帰り道、家に向かってトボトボと歩きながら、そうか、社会心理学の知識はこういうところでも活かされているのか、としみじみ思った