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ついに書籍化!『ヒトはそれを『発達障害』と名づけました』(筑波大学DACセンター/監修 佐々木銀河/編 ダックス/著)#ヒトそれ《書籍の序文をまるっと無料公開》2022年10月

大人気WEB公開中の発達障害啓発マンガが書籍化!

このたび、大人気WEB公開中の発達障害啓発マンガ『ヒトはそれを『発達障害』と名づけました』を書籍化します!

もともとは、筑波大学DACセンター(本書の監修担当)で、2019年度より発達障害当事者の職員(ダックスさん。本書の著者)による「ヒトはそれを『発達障害』と名づけました」というWebマンガを通した発達障害の理解・啓発活動に取り組んでいました。

色々な発達障害を併せもつ「ダックスさん」と、ASDの「ネコさん」、ADHDの「トリさん」、LDの「サカナさん」など、かわいいキャラクターを通して、発達障害について理解する・伝える内容として、大好評を得てきました。

※Webマンガはこちらより閲覧可能です。
 https://dac.tsukuba.ac.jp/radd/joint-base/manga/

描き下ろしマンガも掲載!

今回の書籍は、Web公開しているマンガに加えて、「発達障害のグレーゾーン」や「二次障害」について知ることのできるマンガや「当事者さんたちの自己紹介マンガ」を書籍用に描き下ろしています。さらに編者の佐々木銀河先生による「解説」も掲載しています。ぜひ書籍でお楽しみください。

※描き下ろし「発達障害のグレーゾーン」の一部を、このnoteの後半で公開しています。

それでは、佐々木銀河先生による「序文」と、描き下ろし「発達障害のグレーゾーン」の一部を、特別公開いたします!


「発達障害」という言葉に、私たちはどのように向き合うのか(解説:佐々木銀河)

「発達障害」という言葉が社会に浸透するようになって久しい。学校でも、職場でも、家庭でも、そしてメディアでも、さまざまな場面で私たちは「発達障害」という言葉に触れるようになった。「発達障害」という言葉は、ヒトによって受ける印象が大きく異なる言葉である。あるヒトは、昔から能力の欠如という意味を伴って用いられがちであった「障害」という言葉に引っ掛かり、この言葉を否定的に捉えているかもしれない。また別のヒトは、優れた能力やパフォーマンスを発揮している「発達障害」のあるヒトを見たり、聞いたりして、障害を乗り越えて能力を開花させたヒトという意味をもって、肯定的に捉えているかもしれない。

あなたは、どうだろうか?

「発達障害」という言葉は、社会を間違いなく変える言葉である。「発達障害」と名づけられたヒトに対する支援の必要性が説かれ、「発達障害」のあるヒトを支援するためのシステムやサービス、コミュニティが年々、増加している。もちろん、このようなシステムやサービス、コミュニティに深く関わっているヒトもいるし、まったく関わりのないヒトも多くいるだろう。ただ、ある日、「発達障害」という言葉に触れることで、予想していた人生が大きく変わったヒトもいる。

あなたは、どうだろうか?

「発達障害」という言葉は、とても強いインパクトをもつ言葉である。医学的な診断基準においても、「障害」という言葉が本人や家族などに与える影響の大きさから、最近では「障害」ではなく「症」を用いることが増えてきている。そのため、ヒトの神経発達における特異性を示す一連のグループとして、「発達障害」という言葉の代わりに「神経発達症」という言葉も用いられるようになってきた。このように、学術界においても「障害」という言葉への向き合い方が変化している。「発達障害」という言葉は、とても広い意味をもつ言葉である。学術的に「発達障害」という言葉が指す状態には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)(ここでは、一般的な用語として浸透している学習障害〔LD〕を用いる)など、さまざまなタイプがある。しかし、「発達障害」という言葉が自己(他者)紹介のパーツのひとつになるとき、それは異なった意味で使われることがある。あるヒトは「発達障害」という言葉をASDのようなコミュニケーションの苦手さとして、別のヒトはADHDのような不注意さや、LDのような読み書きの苦手さとして説明する。そのため、聞いたヒトが感じる「発達障害」のイメージも異なってくる。ひょっとしたら、「発達障害」という言葉がヒトから離れて、ひとり歩きしているのかもしれない。

あなたは、どのように「発達障害」という言葉と向き合っているのだろうか?

この本では、いったん、ヒトという存在から離れて、動物のようなキャラクターたちが「発達障害」という言葉に向き合おうとする様子が描かれている。この世界に登場するキャラクターたちは、ヒトから名づけられた「発達障害」という言葉にどのように向き合い、生きているのだろうか。ヒト(ここではキャラクター)を中心として、「発達障害」という言葉に改めて向き合いたい。


描き下ろしマンガ「発達障害のグレーゾーン」を一部紹介

『ヒトはそれを『発達障害』と名づけました』p.58~p.62より

この続きは書籍でお楽しみください。

RADD発達障害学生支援プロジェクトのwebサイト( https://dac.tsukuba.ac.jp/radd/joint-base/manga/ )では、カラーページの他、本書に掲載されていないマンガの閲覧ができます。
こちらもぜひチェックしてみてくださいね。