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【ケース2まとめ!】ズバッと解決ファイル4U ~時計の問題で混乱してしまう子~(阿部利彦:星槎大学大学院教育実践研究科教授)

ケース2では、「時計の問題で混乱してしまう子」の事例を取り扱いました。これまで、今井先生、久本先生、2名の達人による支援案をご紹介いただきました。今回はケースのまとめとして阿部先生に再度ご登場いただき、ズバッと!まとめていただきます。
それでは以下より本編スタートです!

時計の問題を解くために

 今回、時計の問題についても、そのつまずきは様々だということがわかりました。前回の事例の数量感覚と同様に、時間もまた「見えないもの」であり、今度は時間という見えないものをつかむ感覚を子どもたちに身につけてもらうことが必要になります。

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 見えない時間を見える化する役割を果たすのがまさに時計ですが、時刻や時間を考えるにあたって、アナログ時計とデジタル時計では必要な認知処理の機能がそれぞれ異なるということも今井先生のおかげで整理することができました。

 今井先生はアナログ時計についての解説で「長針は後ろ向きで進んでいる」とおっしゃっています。これもとてもインパクトのある言葉でした。

 この「前」「後」、という言葉については、時間と空間とで意味合いが大きく異なるということもおさえていかなくてはなりません。

 以前、私が担当したお子さんも「何時間前」というのは自分の「目の前」と同じような、今から先、つまり過去でなく未来を指していると勘違いしていました。例えば「7時の1時間前は8時」と考えてしまうのでした。

 また、帰国子女のあるお子さんは「日本語は、時間の前と後ろ、場所の前と後ろとで同じだけれど、英語だと言葉が異なるし、表現の仕方もいろいろあるので区別がはっきりしている」と教えてくれました。今井先生の提案を読みながら、その子が言っていたことがより明確になった気がしました。

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教え方の工夫として

 算数の指導で、発話思考法を使うというのがまた面白いところです。具体的なところは今井先生の本文を再度お読みいただきたいと思います。ここでのポイントは、子どもが思った通りにつぶやけるような場づくりです。「間違ったことを言ってはいけない」「ちゃんと説明しないといけない」「大人の期待したことを言わなければ」と緊張してしまうと、考えをそのまま出力できなくなってしまうからです。また支援者には、その子が言ったことをアレンジせず子どもの思考通り、そのままを捉えていくことが求められます。

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 発話思考法による支援は、個別の場で時間をかけて行う必要があります。通常の学級ではどのような教え方の工夫ができるか、というところは久本先生から学ぶことができるでしょう。久本先生の「時間の経過を見える化」作戦はクリアファイルを使って手軽に再現できますので、ご家庭でも取り入れることができます。

 短針と長針をキャラクター化してしまう、という発想が面白く、いかにもアイデアマンの久本先生だと思いました。このインパクトは子どもたちの記憶にしっかり残ることと思います。

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学びに「本物」の楽しさを

 久本先生の5つの作戦に共通するのは「楽しさ」「ワクワク感」です。この「楽しさ」は時計の問題につながる「接続した楽しさ」です。一方、先生がふざけたり、物まねをしたり、流行りのギャグを言ったり、というような「教科に接続していない楽しさ」を取り入れると、その場では盛り上がりますが学んだことは子どもたちの中に残りません。

 本物の楽しさとは「わかる楽しさ」「できる楽しさ」であり、それらを達成するためには子どもたちのつまずき方をしっかり把握する、教える側のアセスメント力が求められると思います。

 今回、時計にまつわる子どもたちのつまずき方を整理してくれた今井先生も子どもたちと学びを楽しむ達人です。

 今井先生、久本先生のように「子どもたちに教えることを楽しむ」ということの大切さもあらためて学んだケースでした。

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いかがだったでしょうか?技術的なアプローチ、心理的なアプローチ、それぞれ学びになるとともに、先生としての「楽しさ」という点においても大切なことを教わったように思います。今回のまとめをもって、「時計の問題で混乱してしまう子」のケースは終了です。

さて、続いてケース3も継続して公開します!ケース3の公開は10月28日(水)を予定しています。今度のケースは、「登場人物の気持ち」に関するつまずきの事例です。
どんなつまずきがあり、達人たちはどんな支援案を展開するのでしょうか…?続くケース3もぜひお見逃しなく!

執筆者プロフィール

阿部利彦(あべ・としひこ)
星槎大学大学院教育実践研究科教授。
専門は特別支援教育、教育のユニバーサルデザイン、発達につまずきのある子の魅力やサポート法について、講演会・教員研修に全国を飛び回る。

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