マガジンのカバー画像

【特集】つながれない社会のなかで、”こころ”のつながりを

41
covid-19の拡大防止のため身体的な距離を置くことを求められる社会。 つながりが希薄になることで、私たちの日常生活の一変だけでなく、”こころ”への影響が危惧されています。 … もっと読む
運営しているクリエイター

#金子書房

【緊急特集】「心の苦しさ」を抱える人が多い今。専門知をnoteで届けたい。#つながれない社会の中でこころのつながりを

【緊急特集】「心の苦しさ」を抱える人が多い今。専門知をnoteで届けたい。#つながれない社会の中でこころのつながりを

2020年4月7日、covid-19感染拡大の防止に伴い、緊急事態宣言が発令されました。

不要不急の外出制限を要請されている今、多くの人が心に苦しみを抱えていると推察される報道が続いています。

また、授業のオンライン化も言われて久しいものの、多くの親子が悲鳴をあげているようです。

上記は一例にすぎず、虐待や、DV、離婚、自殺、様々な報道が飛び交っています。

----------------

もっとみる
【あとがき】(特集 #つながれない社会のなかでこころのつながりを )と【次回予告】

【あとがき】(特集 #つながれない社会のなかでこころのつながりを )と【次回予告】

 6月7日(日)の公開分をもって、本特集の記事はそのすべてを公開いたしました。合計38名もの先生方にご協力いただき、なんと37本もの記事を公開いたしました。

 とても短い執筆期間にもかかわらず、ご執筆を賜ったご執筆者の皆さまのお名前を再度掲載させていただくとともに、改めて御礼を申し上げます。

***執筆者一覧(敬称略)***
阿部 利彦(星槎大学大学院 教育実践研究科 教授)
井原 裕(精神科

もっとみる
自分と他者を知るための哲学対話で、"思い込み"から自由になろう
(二村ヒトシ 映像ディレクター) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

自分と他者を知るための哲学対話で、"思い込み"から自由になろう (二村ヒトシ 映像ディレクター) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

 現代は、人の数だけ恋愛の幸福と不幸があるといっても過言ではないでしょう。

 映像ディレクターの二村ヒトシさんは著書を通じて、恋愛でどう幸せになるかを説いてきました。自分と相手の持つ〈心の穴〉の形を知り、思いこみから自由になり、自分と相手について本質的な理解をすることで、より幸せな恋愛ができるということです。

 本稿で二村さんは、自分の考えや心と向きあうために哲学対話という手法を勧めています。

もっとみる
他者と共に一人になる ~ #哲学対話 による新しいつながりの経験~ (梶谷真司:東京大学教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

他者と共に一人になる ~ #哲学対話 による新しいつながりの経験~ (梶谷真司:東京大学教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

 哲学対話を通じ、他の人とともにいろんなことを考えてみたい。本音で語ってみたい。

 きっと、あなたは梶谷先生の論考を読んだ後で思うはずです。

 自分と他者を尊重しながら、自由に考えられる。「みんな違って、みんないい」そんな場の魅力、つながりが哲学対話にはあります。

「人とつながる」とは、どういうことなのか

 「つながり」は大切だと言われる。人と会う。人と話す。一緒に何かをする。私たちは一人

もっとみる
家族の暴力への援助 ~その歴史から対応へ~(信田さよ子:原宿カウンセリングセンター所長)
#つながれない社会のなかでこころのつながりを

家族の暴力への援助 ~その歴史から対応へ~(信田さよ子:原宿カウンセリングセンター所長) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

多くの国で外出しないで家にいることが一番の方策と考えられた今回、世界的な問題として浮上してきたのが、家庭内におけるDV(ドメスティックス・バイオレンス)でした。日本でその問題に早くから携わってきた信田さよ子先生に、世界での問題化に関連しての日本の対応、そして、これからの生活において忘れてはならない視点について語っていただきました。

はじめに コロナ禍は測り知れない影響を世界中に与えるだろうが、そ

もっとみる
ポスト・コロナ後の思考力 ~哲学対話の可能性~(小宮山利恵子:スタディサプリ教育AI研究所 所長/東京学芸大学大学院 准教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

ポスト・コロナ後の思考力 ~哲学対話の可能性~(小宮山利恵子:スタディサプリ教育AI研究所 所長/東京学芸大学大学院 准教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

テクノロジーが教育を変える。すでに一部の学校では変化を見せていることをご存知だろうか。その影響力にますます注目を浴びる教育とAI。専門家である小宮山先生にご寄稿いただいた。
このコロナ禍でなぜ心理学を学び、なぜ哲学対話に参加したのか――。そして「AIと心理学は対極ではない」とするその理由とは。
「教育・AI・心」について、あなたも一緒にお考えいただきたい。

GIGAスクール構想で一人一台PCが今

もっとみる
時には深いため息を(安田 登:能楽師(ワキ方 下掛宝生流)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

時には深いため息を(安田 登:能楽師(ワキ方 下掛宝生流)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

外に出ないことが心身に与える影響の大きさに、初めて気がついた人も多かったのではないでしょうか。日本の心を演じ、伝え続けてきた能楽師の安田登先生に、日本人の心と体の関連についての特徴と、これからの暮らしの中で役立つ実践についてお考えいただきました。

深呼吸のすすめ 2か月ほど続いた自粛生活もようやく終わりに近づいています。この2か月間、家で静かにしていたという人もいたでしょうし、ふつうに通勤・通学

もっとみる
精神科へのかかりかた ー#不登校 、#発達障害 疑い、#身体症状 …子どものことが気になる親へ (尾形広行 臨床心理士/井原裕 精神科医)

精神科へのかかりかた ー#不登校 、#発達障害 疑い、#身体症状 …子どものことが気になる親へ (尾形広行 臨床心理士/井原裕 精神科医)

問診票から考えること わたしたちの外来にはどんな子どもたちがやってくるのでしょうか?わたしたちのように医療機関で子どもの治療を引き受ける立場からすれば、子どもとの最初の出会いは、問診票から始まります。

 当科の初診は予約制になっていて、当日の受付後に問診票を書くことになっています。まずはこの問診票からわたしたちが何を知り、どのように治療につなげるのかをお伝えしたいと思います。医療機関によってさま

もっとみる
メンタル散歩のすすめ(仲 真紀子:立命館大学総合心理学部教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

メンタル散歩のすすめ(仲 真紀子:立命館大学総合心理学部教授)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

 ひとに備わっている記憶や想像という力は,思いがけず立たされた苦境やいまいる狭い場所から果てしない広がりへと連れ出してくれます。発達心理学者の仲真紀子先生がご紹介くださるメンタル散歩は,だれにでもある心の仕組みを,ユーモアをもって存分にはたらかせるものです。
 おとなも子どもも,ぜひ挑戦してみてください!

記憶のなかの街を歩く 忙しくてなにも手につかないとき,気持ちが滅入ったとき,病気で動けない

もっとみる
悪夢はコロナ・パンデミックにより引き起こされたのか?(福田一彦:江戸川大学睡眠研究所所長)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

悪夢はコロナ・パンデミックにより引き起こされたのか?(福田一彦:江戸川大学睡眠研究所所長)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

コロナ自粛の最中に悪い夢を見た――。
そんな人も少なくないのではないでしょうか。あなたが見た悪夢は、果たしてコロナ禍にある不安によって引き起こされたものなのでしょうか?「夢」という不思議なメカニズムとその正体について、睡眠研究で著名な福田一彦先生にお伺いしました。

新型コロナ感染症の影響への不安
 私は睡眠を研究している心理学者で大学の教員をしております。現在、新型コロナウィルス感染症の世界的流

もっとみる
コロナ騒ぎの中での親子関係(汐見稔幸:東京大学名誉教授/白梅学園大学名誉学長)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

コロナ騒ぎの中での親子関係(汐見稔幸:東京大学名誉教授/白梅学園大学名誉学長)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

外出の自粛が推奨され、これだけ長く一緒に過ごしたことはないという日々を送られている親子がほとんどだと思います。
今までにない親子の関係と状況について、子育てと教育にいつもやさしく深いまなざしを注がれている汐見稔幸先生にお考えいただきました。

「人間」という言葉の意味 人間という言葉は、中国語と日本語で語義(意味)がやや異なります。中国語では「ひとのあいだ」という文字通りの語義の言葉で、人と人の関

もっとみる
ロックダウン下のハワイから ~カウンセラー イン ホノルル~(袰岩奈々:Kids Hurt Too Hawaii ファシリテーター
)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

ロックダウン下のハワイから ~カウンセラー イン ホノルル~(袰岩奈々:Kids Hurt Too Hawaii ファシリテーター )#つながれない社会のなかでこころのつながりを

今回の感染症は、海外の情報もリアルタイムで入って来て、多くの人が日本の状況と比較できるのも、今までとは違うところです。
日本でカウンセラーとして活躍し、今、オアフ島にお住いの袰岩奈々先生に、現地に住む臨床家だからこそわかるロックダウン下のホノルルについてお書きいただきました。

 3月26日にロックダウンが始まって以来、約1ヶ月半たったハワイ。ゴールデンウィークの時期には日本から毎日約6000人も

もっとみる
不可視の攻防―日本社会の強みとは何か、あらためて考える(菅野泰蔵:東京カウンセリングセンター所長) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

不可視の攻防―日本社会の強みとは何か、あらためて考える(菅野泰蔵:東京カウンセリングセンター所長) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

今回の感染症は、世界中の国々で、その国の事情に応じた様々な方策を取っていくのが見えました。そこには、各国の国民性も現れていました。この感染症への対応から見えた私たちの姿はどのようなものだったでしょうか。東京カウンセリングセンター所長の菅野先生が語ります。

自由と感染 全世界的な拡大を見せる新型コロナウィルス禍だが、数ヶ月が過ぎ、さまざまな考察が可能になってきたように思う。私が関心をもつのは、各国

もっとみる
新型コロナ禍の中で過ごす親子の時間~発達障害のある小さなお子さんとの遊び方のコツ~(黒田美保:帝京大学文学部心理学科 教授/BRIDGEこころの発達研究所代表)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

新型コロナ禍の中で過ごす親子の時間~発達障害のある小さなお子さんとの遊び方のコツ~(黒田美保:帝京大学文学部心理学科 教授/BRIDGEこころの発達研究所代表)#つながれない社会のなかでこころのつながりを

発達障害のある小さなお子さんとご家族の支援を続けられている黒田美保先生。外出自粛が続く中、家の中で親子で楽しく過ごすための、ちょっとした工夫とコツを教えていただきました。

 それでも日々は続く 2020年5月20日、東京の自宅でこの原稿を書いています。4月7日に緊急事態宣言が発令されてから、もう1カ月以上ほとんど人に会わない生活です。大学での仕事が多くを占める私にとって、学生に会わないということ

もっとみる