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批判心理学への招待:心理学化した新自由主義社会における研究と人間の福祉【前編】(山野美容芸術短期大学教授:五十嵐靖博) #誘惑する心理学

今日,心理学という学問は私たちの生活になじみ深いものとなっており,日常生活の様々な場面で心理学という言葉を目にします.現代心理学が成立して100年以上がたった今,主流の心理学の営みを内省するオルタナティブな研究・実践が広まりつつあります.この批判心理学と呼ばれる潮流について,理論心理学の立場から批判心理学に取り組まれている五十嵐靖博先生にご解説いただきました.今回の前編記事では,批判心理学とは何か,何を「批判」しているのかについて,心理学が社会に普及した経緯をひもときながらご解説いただきました.

キーワード:心理学化,国際批判心理学運動,メタ学問としての理論心理学,リフレキシビティ,微視的批判心理学運動

後編はこちら:https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/ncc58ba42a09a


1.心理学が抱える諸問題に取り組む批判心理学

21世紀を迎えたころから世界各地で心理学が抱えているさまざまな問題に取り組む批判心理学(critical psychology)が盛んになりました.国際心理科学連合(IUPsyS)によって4年に一度開催される国際心理学会議は1889年に第1回会議が開かれて以来,心理学界において最も古い歴史をもち,また最も規模の大きな学術会議のひとつです.1972年に東京で第20回会議が,2016年に横浜で第31回会議が開催され,日本心理学界において歴史的事跡として記憶されています.

2012年にケープタウン(南アフリカ)で開催された第30回国際心理学会議では,45の発表カテゴリーのひとつに批判心理学が採用されました.近年もコロナ禍のなかでグローバル危機の心理学に関する国際会議(Dege & Strasser, 2021),アフリカ‐アジア批判心理学会議,2022バンドン批判心理学会議,グローバルサウス批判心理学会議などオンラインで集う国際会議が開催され,活発な交流が行われています.心理学史のテキストも21世紀における心理学の新しい動向として批判心理学を記述し始めています(Pickren & Rutherford, 2010; Richards, 2009).21世紀に活発になった世界の心理学界におけるこの新しい動勢は国際批判心理学運動として知られています(Teo, 2015; 五十嵐,2011).

ケープタウンで開催された第30回国際心理学会議には,日本から多くの心理学者が参加しました.しかし開催国である南アフリカを始め,北側の多くの「先進国」においても批判心理学というキーワードを共有して心理学に取り組む研究者が一定の勢力となっていたことには,気づかれなかったようです.批判心理学が活発になった背景には認知行動主義に依拠する欧米の主流心理学のグローバル化や,新自由主義政策のもとで個人の能力の開発や自己管理を重んじる社会セクターが,心理学をいっそう活用するようになった社会情勢があります.西洋の主流心理学についてかねてポストコロニアル心理学者やフェミニスト心理学者,LGBTQ+心理学者などがWEIRDウィアードな心理学だと指摘しています(Macleod, Bhatia, & Liu, 2020).WEIRDとは西洋の(Western),教育水準の高い(Educated),高度に工業化された(Industrialised),裕福な(Rich),民主的な(Democratic),国・地域を意味しています.そうした属性をもたない国・地域の心理学者にとって,西洋の主流心理学はweird(〔英〕奇妙な,風変わりな)なものであるため,心理学の脱植民地化(decolonization)を目指して活発な研究が行われています.

批判心理学は現在,欧米やグローバルサウス諸国において各々の政治経済や社会状況,文化的伝統などの文脈に応じて多方面へと発展しています.心理学の研究対象が「基礎心理学」から「応用心理学」まで広大な領域へ拡張し,研究のために用いられる方法や理論的資源が多岐にわたるため,批判心理学も多様です.こうした事情から初めて批判心理学に触れる人のなかには,全体像がつかめず「批判心理学は難しい」という声を聞くこともあります.

本稿では現在,グローバルサウスを含む多くの国・地域において進展する批判心理学を,心理学のメタ学問である理論心理学の立場から紹介します.批判心理学者が共有する価値や心理学に取り組む姿勢を,メタ的視点からお伝えできればと願っています.

1-1. 批判心理学とは?

心理学は認知心理学や臨床心理学,教育心理学,社会心理学など数多くの専門領域へと分化しました.第2次大戦後に世界の心理学に大きな影響を与えてきたアメリカ心理学会は54の専門部会(division)を備えています.批判心理学はこうした専門領域のひとつではありません.1875年にヴィルヘルム・ヴント(1832 - 1920)がライプツィヒ大学の哲学教授に就任して心理学の研究と教育を行い,大学における制度的学問として「現代心理学」が成立しました.それ以降,心理学は今日までに数多くの研究方法論や理論を産出してきました.しかし,それらのうちのひとつが批判心理学を定義づけるわけでもありません.

ある心理学者が批判心理学者になった過程をみると,もともと社会心理学や発達心理学,臨床心理学などの領域で活動するうちに,自身が専門家として研究する学問が抱える重大な問題を自覚して,それに「批判的」に取り組むようになる場合が多いようです.さまざまな国・地域の批判心理学者に「批判心理学とは何ですか?」と尋ねたなら,各々の専門性や問題意識に応じて,異なった答えを得られることでしょう.

私は理論心理学(theoretical psychology)の立場から批判心理学に取り組んでいます.理論心理学は心理学の歴史や哲学や社会学を研究し,数多い心理学の理論や研究方法論の比較研究を行って新しい理論や実践を探究するメタ学問です(Martin et al., 2015; Teo, 2019).批判心理学は極めて多様なかたちで実践されているためメタ的視座からみると,批判心理学は「心理学に関わるさまざまな問題を自覚した研究者が,批判心理学の名のもとで行う活動の総称」であるという説明が,現在の時点では最も妥当だと思われます(五十嵐,2021).英語でcritical psychologyと表記すると,一つのよくまとまった学問が成立しているような印象をもたれることもあります.このため英語ではcritical psychologiesと複数形で表すことも少なくありません.下記は辞書的な説明の一例です.

批判心理学(critical psychology):
研究や心理臨床や教育,学会や社会での活動など心理学者が日常的に行う実践のなかで自覚された問題の解決を目指す活動の総称.一つの理論や方法ではなくフェミニスト心理学,エスニック・マイノリティの心理学,ドイツ批判心理学,LGBTQ+心理学,質的心理学,解放の心理学,ポストコロニアル心理学など多様である.心理学化された社会では心理検査や心理療法,心理学理論などが人を対象とする諸セクターで適用され,統治のため抑圧的に使われる場合もある.そのため幸福や福祉に寄与する心理学を目指して,心理学が直面する課題を解決し研究を推進する姿勢が批判心理学の特徴である.他者や社会のみならず自分を批判的に検討する反省性(リフレキシビティ)が重要である.
21世紀に入り北側諸国に加え中南米やアフリカ,アジアの心理学者が中核を担う現代批判心理学運動が注目され,西洋心理学が人間の普遍的な科学的心理学だと無条件に受け入れられた時代が変わる心理学史上の画期をなす可能性がある.

(五十嵐,2018,質的心理学辞典,p263.一部改変)

1-2. 批判心理学は何を「批判」しているの?

批判心理学が多様だとはいえ,多くの批判心理学者は2つの基本的な価値を共有しています(Igarashi, 2015).この2つは「批判」する心理学,あるいは「批判的な」心理学が何を批判しているのか,という問題に関わる価値観です.それが自ずから批判心理学を定義づけていると言えるでしょう.

1-2-A.福祉や幸福に寄与する心理学をめざす

ほとんどの心理学者は研究や心理臨床実践や教育,社会的活動などを通して人間の福祉や幸福に寄与したいと願い日々,活動していることでしょう.人間の不幸を望む心理学者に私は出会ったことがありません.しかしそうした願いとは反対に,心理学が人々に不幸をもたらしている事例に気づくことがあります.たとえば心理検査が被検者のためにではなく,管理者による統治の目的のために用いられることがあります.また心理療法が新自由主義社会において「現状維持のツール」として用いられることもあります(Cromby et al., 2022).職場や学校などで苛烈な競争や自己管理を強いられているクライエントに対して,心理療法を行ってクライエントの心や行動を変えることで社会へ再適応させる役割を担っていないでしょうか.そうした気づきから世界各地で批判心理学が始まりました(Sloan, 2000).

1-2-A-1. 社会が求める心理学

心理学の歴史を振り返ると今,私たちの目の前にある心理学の発展を促した要因として,次の3つを指摘できます.

①心に対する「純粋な知的関心」:心のメカニズムや性質を明らかにしたい,という知的欲求.
②悩みを解決してよりよい生を求める動機:日常生活の中で私たちが経験する悩みなどの心の問題を解決して,より良い生を送りたいという願い.
③社会のニーズ:心理学の外部のさまざまな社会セクタ―が人間の心的な性質や能力を把握し,変容するために役立つ技術や知識を求めるニーズ.

一般に①は心を対象とする科学的研究を,②は心理療法や臨床心理学の発展を促した要因だと考えられます.③は心理学教育ではあまり触れられないのですが,心理学史研究を含む科学史研究では学問外部の要因の影響を検討して,社会史(外部史)の視座から学問の歴史を記述しています(五十嵐,2005).心理学の場合も①や②だけでなく,③の学問外部の諸要因が19世紀後半に現代心理学が誕生した当初から,大きな影響を与えてきました.

教育や産業・ビジネス,司法,医療,福祉,軍事など人を対象とする社会セクターでは対象者の性質や能力を把握し,それに介入してより「望ましいもの」へ変容する技術や知識を求める強いニーズがみられます.19世紀後半に現代心理学が登場したころ,欧米先進国では社会の近代化や産業化,都市化,植民地主義などの状況下でこうしたニーズが強まりつつありました.創始期にあった現代心理学はこれに応え,学問としての地位を高めていきました(Jansz & van Drunen, 2004).

明治維新の後,政府は近代化のための西洋化政策の一環として西洋の学問や教育制度を導入しました.心理学も1870年代以降,欧米から輸入されました.「富国強兵,殖産興業」をめざす国策のもとで子どもの教育を担う教師を養成するために師範学校が設立されると,すぐに心理学の授業も行われました(心理科学研究会歴史研究部会, 1998).ヴントがライプツィヒ大学に心理学研究室を開いたころの話です.当時,日本ではまだ心理学の研究は行われていなかったのですが,小学校教師をめざす学生を対象に心理学が教えられました.

このように社会諸セクターのニーズが心理学に大きな影響を与えてきました.近年の顕著な例として,アメリカ心理学会が「強化尋問技法」によるテロ容疑者への「過酷尋問」に加担した事実が明らかになり,心理学者だけでなく北米社会に大きな衝撃を与えたことがあげられます.心理学の外部の社会が,特に政府や軍事・情報セクターが心理学に与える影響の大きさを示す顕著な事例です(Hoffman et al.,2015; 五十嵐,準備中).

1-2-A-2. 心理学化とサイ学問

こうして人の心的性質を把握して変容する知識や技術を求める社会のニーズを背景として,19世紀後半から20世紀にかけて欧米で心理学(psychology)や精神医学(psychiatry),精神分析(psychoanalysis)が発展しました.これらはいずれも心に関する学問であり,英語表記が心を意味する接頭辞psyをもつことからサイ学問(psy-discipline)と呼ばれています.心理学と精神医学,精神分析はそれぞれ独立した専門的学問ですが,それらが発展してきた歴史を社会との関係から振り返ると,いずれも社会のさまざまなセクターからのニーズに応えて勢力を増してきた,という共通性がみられます(Rose,1985).サイ学問を研究し実践するサイ専門職が登場し,心を説明する理論などのサイ‐ディスコースや,心を把握し変容する技術であるサイ‐テクノロジーが産出されました.人間を統治しようとする社会諸セクターの要請のもとで,これらが心理複合体(psy-complex)を構成して当該社会で生きる人々にさまざまな作用を及ぼしてきました(Rose, 1990 堀内・神代訳 2016).

客観的で価値中立的だとされる欧米の科学的心理学の専門用語や概念は,心理学史研究者によって実際には欧米社会の文化や価値を背景として生み出されたものだと指摘されています(Danziger, 1997).心理学の専門用語や概念が表す対象は,「鉄」や「ネコ」や「バラ」のように自然界に実在する自然種ではありません.それらはある時代に同じ文化の中で生活を送る人々が集合的に作り出した社会構成物です.心理学者は何ら与件のない真空のような状況で研究を行うわけではありません.自分が属する社会や文化において心がどのようなものとして捉えられているか,ある種の心観を前提として心理学研究を行ってきました.研究実践を行って産出された心理学的生産物が社会諸セクターで採用され人々の間に普及すると,今度はそれが当該社会に生きる人々にとって与件になる,というループ効果が生じます(Hacking, 1995).

第2次大戦後にアメリカ心理学の強い影響を受けるようになった日本心理学の場合は,アメリカから輸入された心理学の用語や概念がアメリカ社会に固有の性質を帯びていないか,検討する視点も必要です(Igarashi, 2006).アメリカ社会の考え方や価値を自明のものとして受け入れているアメリカの心理学者が「知能」や「自己概念」のような心理学用語を作り,それを用いて研究が行われ,心や行動を説明する理論や心理検査などの心理学的生産物が生み出されました.日本の心理学者がそれを導入して翻訳し,研究を行って日本語版の理論や心理検査が産出されました.学校や職場や医療や福祉,司法,マスメディアなどでそれらが普及すると,「心の問題」が生じたときに臨床心理士や公認心理師に相談するのが当たり前になり,就職試験等で適性検査のような心理検査が課されることも自然化されます.そうした社会で生まれ生活を送る人は,自分や身近な他者の心を「ストレス」や「自己実現」のような心理学用語を用いて理解するようになるでしょう.こうして日本でも社会と個人の主観性の心理学化(psychologization)が進行しています.

ループ効果を説明する図。①「既存の社会や文化」,②「心理学の専門用語や概念」,③「心理学的生産物(心理学理論,心理検査,セラピーなど)」,④「教育や産業・ビジネス,医療,司法,福祉,軍事などの社会セクターが採用」,⑤「当該の社会で生きる人の生活や主観性に浸透し,自然化される」のそれぞれのテキストが矢印でつながれ、この番号順に循環することが示されている。
図 ループ効果による心理学化の進行

1-2-B.心を研究する学問の発展が妨げられている現状の変革

心理学を専門的に学び,研究や教育など心理学実践に取り組んだことのある人の中には,心を研究対象とする学問の発展が妨げられている事例を見聞した人がいるかもしれません.たとえばアカデミックな心理学の主流の座にある認知行動主義は科学的心理学を代表するアプローチです.科学の重要性はわざわざ述べるまでもないことですが,「客観的,価値中立的な科学的心理学」の名において科学的心理学が同時代の重要な問題を忌避する「客観性と価値中立性の神話」による弊害も指摘されています(Gergen, 1991).1960年代後半以降,ポスト構造主義やポストモダン思想の発展を受けて多くの学問領域で客観性や普遍性の意味が問い直され,心理学においても「ポストモダン心理学」が登場しました(Kvale, 1992).

「客観的,価値中立的な科学的心理学」が,実際には「男性,白人,中流階級,異性愛者,健常者」の心理学としての側面をもつという指摘が,女性や有色人種,低所得層,性的マイノリティ,障害者などの属性をもつ心理学者によって為されてきました(Fox et al., 1997).後者の立場からさまざまな批判心理学が生まれ,心理学の研究対象や研究方法論,社会的実践などが拡張されました.客観的で普遍的な科学的心理学を標榜する人が,自文化中心主義や自学問中心主義,私的利益中心主義などの影響を受けて偏った振る舞いをみせることがあります.この3つの中心主義を越えて心を研究する学問を推進することが,批判心理学のおもな目的のひとつです(五十嵐,2021).

ひとたび認知行動主義などの主流心理学とは異なるアプローチが可能だと気づけば,心理学に隣接する社会科学の諸領域で新しい心理学研究を行うために活用できる理論的資源を見いだすことができます.ポスト構造主義やフェミニズムや新マルクス主義,社会構成主義,(ラカン派)精神分析,ポストコロニアル思想,クィア理論など社会科学の諸学問で大きな成果を上げてきた理論や研究方法論を用いて,新たな立場から心理学に取り組む視座が拓かれました.ラテンアメリカ諸国では解放の神学から解放の心理学(liberation psychology)が生みだされ,一大勢力になりました.1990年代には質的心理学やフェミニスト心理学が批判心理学を主導しました.21世紀に入るとポストコロニアル心理学が支持を集め,現在も世界各地で欧米の主流心理学の脱植民地化などをめざして批判心理学が実践されています.主流心理学に対して「言うべきこと」をもっている研究者が批判心理学を担っています.

(後編に続く:https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/ncc58ba42a09a

引用文献

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    (ローズ,N. S. 堀内 進之介・神代 健彦(監訳)(2016).魂を統治する―私的な自己の形成― 以文社)

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執筆者プロフィール

五十嵐 靖博(いがらし・やすひろ)
山野美容芸術短期大学教授.日本心理学会批判心理学研究会代表.専門は理論心理学,批判心理学,ディスコース分析.心を研究対象とする学問の多様な側面をメタ学問的に考察し,1人称の心的経験を研究する方法論をディスコースの視点から探究している.著書に『入門マインドサイエンスの思想:心の科学のための現代哲学入門』(共著 新曜社 2004),『Handbook of critical psychology』(共著 Routledge 2015),『ソーシャル・コンストラクショニズムと対人支援の現場:理論から実践へ』(共著 新曜社 2021),訳書に『意識の神秘は解明できるか』(共訳 青土社 2001),『心を名づけること:心理学の社会的構成(上下)』(共訳 青土社 2005),『質的心理学研究法入門:リフレキシビティの視点』(共訳 新曜社 2008),『発達心理学の脱構築』(共訳 ミネルヴァ書房 2012)などがある.

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