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第12回 治療的ダブルバインドのコツ④ ~家庭内暴力の事例を題材として考える~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 本連載では、ここまでブリーフセラピーの中心となる治療的ダブルバインドについて考えています。第9回では、そもそもダブルバインドについて紹介したうえで、治療的ダブルバインドがなぜ効果的なのかを説明しました。また、第10回と第11回では、効果的なダブルバインドがうまく活用するために、よくある失敗として、「創造性の問題」と「現実性の問題」の2つに分けて具体的な事例と共に紹介しました。
「創造
孤独の光明(駒澤大学心理学科教授:藤田博康) #孤独の理解
孤独の苦しみ 孤独は人を不安にさせ、苦しめます。孤独によって私たちは、淋しく、恥ずかしく、みじめで、世間から取り残されたような、なんだか生きる価値のない人間になったような、そんな気持ちに追い込まれがちです。
そんなとき、私たちはとにかく孤独を追い払おうとします。当面の淋しさを紛らわせようとスマホに頼ったり、手っ取り早く誰かとつながっていることを確かめようとしたり、ひとりぼっちにならないように過
2022年9月刊行『続・発達障害のある女の子・女性の支援』(川上ちひろ・木谷秀勝/編著)《書籍の序文をまるっと無料公開》
この9月に『発達障害のある女の子・女性の支援』の続編、『続・発達障害のある女の子・女性の支援』が、弊社より刊行されます。
前著は、情報の少ない発達障害の女の子・女性の「からだ・こころ・人間関係」の支援について、ライフステージごとの事例から学べる本として2019年3月に刊行されました。
カバー表紙に描かれた、鎧を身に纏った勇敢な女性の姿が印象的な1冊です。
そして今回刊行される「続編」は、
孤独と成長:コロナ時代の大学生(大阪教育大学名誉教授:白井利明) #孤独の理解
孤独とは かつて哲学者の三木清は「孤独は山になく、街にある」と述べた。孤独は周囲に人がいないから感じる孤立ではなく、周囲に大勢の人がいるなかで一人である自分を感じてしまうところから生まれる。青年期は、自我が目覚める時期であり、孤独に向き合うことで自我を成長させていく時期である。
青年心理学者の牛島義友は『牛島 青年心理学』(1954年)を著し、「孤独は社会意識の再出発点」と書いた。青年は孤独に
第11回 治療的ダブルバインドのコツ③ ~リスク回避をする~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 前回、前々回に続き、治療的ダブルバインドについて解説します。治療的ダブルバインドに基づく介入を提案する難しさについて、1つは「そもそも思いつかない」という「創造性の問題」。もう1つは「現実性の問題」があります。そして、前回の連載では、創造性の問題を克服する方法の一つとして普段からポジティブ・リフレームを考えることが大事だということを、事例を交えて紹介しました。
今回は、もう1つの「現