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第20回 家族へのアプローチ① ~不登校児の母親への初回面接から~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 今回が2023年最初の連載となります。みなさん、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
この連載も第20回となりました。これまでは、ブリーフセラピーの基本的な考え方、とくに相互拘束そして二重拘束について説明しました。後半はブリーフセラピーの解決志向アプローチで用いられる主な技法について具体例を交えて紹介してきました。
ここからは、実際の事例を通して、考え方や技法をどのように使っ
“心”の個人差研究の結果を解釈する(福島県立医科大学助教:三枝高大) #その心理学ホント?
1. はじめにパーソナリティ心理学を始めとする,心理特性の個人差を扱う心理学研究(心理特性の個人差研究)では,心理尺度を測定手段とした調査が広く実施されています。こうした調査では,心理特性の個人差を把握するために,一人ひとりの調査参加者の方々から心理尺度への回答を得て,これを集計した後に統計学的手法を用いて分析します。心理尺度を用いた調査研究は,相関心理学(※1)と呼ばれる研究の流れにあり(Cro
もっとみる葛藤は共通財産、修復しながら生きる:修復的対話(埼玉県立大学 保健医療福祉学部 社会福祉子ども学科 教授/修復的対話の会:梅崎薫)#葛藤するということ
(1) 生きることとは、対話すること 人生というのは、葛藤に満ちたプロセスです。なにごともなく平穏に生きたいと、私たちは望むのですが、なかなかそうはいきません。葛藤のない暮らし、葛藤のない生活をしたいと思うのですが、私たちは人生の段階ごとに、次々に生じる葛藤に出会い、一つ一つそれらを乗り越えて生きているのです。なんて、大変なことでしょうか。
しかし、この葛藤を乗り越える経験こそが、私たちを成長
科学としての心理学を学ぶうえでおさえておきたい論証の基礎(慶應義塾大学文学部助教:板口典弘) #その心理学ホント?
心理学は,“こころ”のメカニズムの解明を目指す科学です。科学的な手法を実践する上でとても重要になるのが,“論証”です。簡単に言うと,論証とは主張と根拠を一緒に提示することです。このようなタイプの論証は,学術分野ではもちろん,日常レベルでも毎日行われています。しかしながら,主張とは何か,根拠とは何か,そしてなぜ論証が大事なのか,などを深く掘り下げて考えてみたことがある方は少ないのではないでしょうか。
もっとみる非認知能力について考える前に(早稲田大学文学学術院教授:小塩真司) #その心理学ホント?
非認知能力への注目 近年,非認知能力や非認知スキルという言葉をよく耳にするようになっています。書店でもタイトルとして目にする機会は増えていますし,保育や学校の現場でも耳にする言葉になってきているのではないでしょうか。その一方で,この言葉はとても多くの内容を含むものです。その点で混乱が生じつつある様子もうかがえます。
今回は,非認知能力の具体的な内容を考える前の段階として,基礎的な部分について考