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第3回 ブレインストーミング(高知工科大学 経済・マネジメント学群 教授:三船恒裕)連載:#再現性危機の社会心理学
ブレインストーミングとは 筆者が好きな漫画のひとつ、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」にこんなひとコマがある。主人公の比企谷八幡(ひきがや・はちまん)が通う高校が、他校と合同でイベントをすることになり、比企谷はそれを手伝うことになる。他校との話し合いの場、合同イベントの内容を決めるためのアイディア出しをするところで、他校の代表が「じゃあ前回と同じくブレインストーミングからやっていこうか
文字の歴史から考える「視ながら触れて音読する」学習について(宮﨑言語療法室代表・言語聴覚士:宮﨑圭佑) リレー連載:子どものことばとコミュニケーションを支援する
はじめにはじめまして。私は言語聴覚士の宮﨑圭佑といいます。京都で読み書き障害を専門とした研究や教材開発をしたりしています。主に発達性読み書き障害(ディスレクシア)の方を対象としていますが、ディスレクシアだけではなく読み書きが苦手な人全てに幅広く関わらせていただいています。
私の読み書き障害に対する学習法は少し特殊です。文字を特殊なカタチで高く立体化した触読版を利用して「視ながら触れて音読」する
社会に出る前のこころのSOS——二極化するポストコロナの学生像(文化学園大学教授:菊住彰)#こころのSOS
多くの大学には「学生相談室」といった名称の相談窓口があります。私も相談室のカウンセラーとして学生からの相談を長く受けてまいりました。今日はある2校の事例をご紹介しようと思います。この両校の学生像は、多くの面で対照的なのですが、コロナ禍を経た社会情勢を反映して、共通の特徴がみられます。意識の面では多様な生き方を志向する傾向が、はっきりと見え始めているという点です。しかし現実の卒業後の選択という実情
もっとみるハウィーのこと(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第6回
旅に出て、行く先々で、大勢の人々に出会う。すべての人のことを憶えているわけではないけれど、そのうちの何人かは、時が過ぎても、姿や顔かたち、声色などを、ありありと思い浮かべることができる。
そんな風に憶えていられる相手は、人間だけに限らないのかもしれない。僕にとって、ハウィーがずっとそういう存在であるように。
米国アラスカ州の中部にある小さな町、タルキートナから、東に約20キロ。道路も何も通
ベイズ統計学と再現性の危機(テンプル大学統計科学部助教授:マクリン謙一郎) #心理統計を探検する
はじめに 再現性の危機が心理学を含む諸分野で問題として話題になって久しい。それに伴って研究に再現性がない原因もわかってきた。その中には悪質な研究不正もあり、(特に分野外の)関心を集めるが、こういうケースは多くはないだろう。少なくとも心理学における25%(社会心理学)から50%(認知心理学)とも言われている再現率の低さの原因がほとんど不正だとは考えづらい。多くの場合は意図をもって不正をしているわけ
個人差研究のための心理尺度の有効性―使用目的と内容―(福島県立医科大学助教:三枝高大) #心理統計を探検する
1. はじめに 現代のパーソナリティ心理学では,パーソナリティを始めとする心理学的構成概念に関する個人差を把握し,母集団の特徴を推測する個人差研究が行われています (e.g. 川本, 2023; 渡邊, 2018)。そうした研究で個人差を把握するために用いられる主な道具が心理尺度です。心理学的構成概念に関する個人差を把握するためには,多くの人々から心理尺度の諸項目への回答を得るという手続きが含ま