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第19回 コーピング・クエスチョン ~サバイバルのコツを本人から聞き出す~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 私たちの日常生活、家庭・職場・学校などで落ち込んでいる誰かがいるときに、はげまそうとすることが良くあります。例えば、「そんなに落ち込んではいけない」「気にしちゃダメ」「そんな悪いことばかり考えてはいけない」などと相手をはげまそうとすることがあります。しかし、そのはげましがうまくいかないこともよくあります。
もちろん、はげましが非常に効果的な時もありますが、うまくいかなかった時に問題
調査の「聞き方」「答え方」がデータに与える影響(大阪大学大学院人間科学研究科教授:三浦麻子) #その心理学ホント?
心理学では「心」にまつわる構成概念を測定するために様々な手法を用いますが,そのうち,調査者の問いかけに対象者が主観(自らの気持ちや考え,経験など)を答えるのが調査です.調査では,呈示した質問に対して,あらかじめ用意した数値や選択肢から当てはまるものを選ばせる形で回答を求めることがよくあり,同じ形式で得られたデータですから,たくさんあっても集計・分析するのが容易です.心理学以外の領域でもよく用いら
もっとみるポップサイコロジーに心理学者ができること(九州大学准教授:山田祐樹)#その心理学ホント?
認知心理学者を自称している私ですが,大学には犯罪心理学者になりたくて入学しました。当時の私はプロファイラーになりたくて仕方がなかったのです。そう思うようになったのは,高校生の頃までに映画,ドラマ,小説,漫画などから多大な影響を受けていたからでしょう。私は昔からそういった作品をたくさん観たり,読んだりするのが好きでした。しかし心理学についての「ちゃんとした」学術書や論文に触れる機会は皆無だったので,
もっとみる第18回 スケーリングクエスチョン② ~円環的に使う~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 前回、スケーリング・クエスチョンは抽象的な事象を数値化することで、解決に向けた会話を促進する効果があることを紹介しました。その上で、①動機づけの高さ、②差異を明確にする、③自己評価について、④解決への取り組み状況、での使い方を紹介しました。さらに、スケーリング・クエスチョンをすること自体が、解決への変化の途上であることを暗示する効果があることを指摘しました。
スケーリング・クエス
思春期の子どもに葛藤する親たちへ(道玄坂ふじたクリニック 心理療法士:岡嶋美代)#葛藤するということ
多様性かわがままか 東欧の国のように、戦禍にあえぎ命の危険にさらされている状況下では、どこに住み何を学びどんな癒しを得たいかなど尋ねられもしないし、限られたところでの息をひそめた生活しかありません。そう考えると、自分らしい生き方を求めることは、豊かな時代に生きる者の特権ともいえます。多くの日本人にとって、現代は自由な選択肢にあふれています。いつの間にか多様性を容認するのは、大人にとっての当然のたし
もっとみる第17回 スケーリングクエスチョン ~状況を測るのではなく創る~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 私たちの日常会話では、「以前より、ちょっとよくなりました」「だいぶましになった」などと表現することがあります。日常生活であれば「へぇ~、それはよかったね」程度のリアクションで済むことが多いでしょう。しかしカウンセリング、特に相互作用を重視するブリーフセラピーでは、この「ちょっと」や「だいぶ」が、どのようなことを指しているのか、そしてどのように評価しているのか、きちんと把握しておくことが大
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