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我々を取り巻く孤独と「友だち」(大阪成蹊大学教授:米田薫) #孤独の理解
身近だった孤独 一人っ子の私は、一人で過ごすことの多い子どもでした。よく、団地の4階の窓から、「下界」で子ども達が群れ遊んでいるのを眺めながら子ども部屋で過ごしていました。その後も、小学校高学年の体育の時間で大縄の時間なのに一人で外周を走っていたり、高校の体育祭の応援合戦でクラスメートが団結して活動しているのに一人はぐれたりしていました。寂しいと思うことはありましたが、集団が苦手で、一人でいること
もっとみる第10回 治療的ダブルバインドのコツ② ~ポジティブ・リフレームの練習~(吉田克彦:合同会社ぜんと代表) 連載:家族療法家の臨床ノート―事例で学ぶブリーフセラピー
はじめに 前回(第9回)は、パラドックス介入について、事例を交えて紹介しました。その上で、①パラドックス介入は治療的ダブルバインドを背景にした介入である、②問題に関して相談者が詳しく知っていて、カウンセラーが何も知らないという前提ですすめる、③ただやみくもに反対のことを提案するのではなく、きちんと流れを作って提案する、④問題が解消される場合でも、もったいぶって最後まで逆説的に対応する、といったポイ
もっとみる読み書き苦手な子が抱える孤独(一般社団法人読み書き配慮代表理事:菊田史子) #孤独の理解
読み書き苦手な息子のこと 息子は、物事の理解はできるのに、読み・書きがからっきし苦手でした。特に書くことがたいへん苦手で、ノートはおろか、自分の名前を書くことさえもおぼつきませんでした。
教室はできない自分と向き合うばかりの場所でした。そこから逃れて “脱走”するのがいつしか日常になっていきました。私は、ひとりぼっちで校庭の隅にうずくまる息子をよく探しに行ったものです。
でも実際には息子は
自閉スペクトラム症(ASD)と孤独(相模女子大学教授:日戸由刈) #孤独の理解
自閉症の人たちは孤独に強い? 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)の中でも典型的な症状を示すタイプの人たちは、“孤独に強い”と考えられてきた歴史があります。1943年、自閉症を最初に報告したレオ・カナーは、「この子どもたちに顕著な病態特異的な基本障害は、人生の始めから、自分自身を普通のやり方で人や状況に関わらせることができないことである」、「物との関わりは
もっとみる2022年8月刊行『科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界』(井手正和/著)《書籍の序文をまるっと無料公開》
2022年8月刊行の『科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界』の著者、井手正和先生のツイートは、告知早々から1,000いいねを超えました。
本書の刊行を記念して、特別に本書のまえがきを公開します!
井手先生が本書に込めたメッセージを、発売前に少しでも感じていただければ幸いです。
本書のカバー絵は、ぷるすあるはの細尾ちあきさんにお願いしました。
そして決まったカバーがこちら!
なお、本
高齢社会における孤独に向き合う(渡辺医院院長:渡辺俊之) #孤独の理解
不眠症で私の外来に通っていた70代女性がいました。息子を半年前に腎不全で亡くし一人暮らしになり、眠れなくなったのです。多忙な大学病院、睡眠導入剤だけ出して世間話ししただけの5分程度の外来でしたが、彼女の不眠は改善し薬もいらなくなりました。「もう大丈夫です。これで診療は終了にしましょう」と言うと、予想外の反応が返ってきました。俯いて「先生と離れたら一人になってしまう」と涙を流したのです。私はハッと
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