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ベイズ統計学を利用した仮説の評価(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科准教授:武藤拓之)#心理統計を探検する
1. ベイズで仮説を評価したい! 「心」というつかみどころのない対象をどうにかして科学的に探究しようとしてきた心理学は,自然科学よろしく,仮説検証のスタイルを採用することで大きく発展してきました。実際,心理学の論文のほとんどは,はじめに理論的な仮説を立てて,次にその仮説から導かれる予測が実際に得られたデータと整合的かどうかを統計的に判断して仮説を評価するという,いわゆる仮説演繹法を採用しているよ
未来を切り拓く:転機への適応とキャリア形成の秘訣(ユースキャリア研究所代表:高橋浩) #転機の心理学
何度も訪れる転換期 キャリア心理学における「転機」には、いくつかの考え方がありますが、ここでは人生の節目となるキャリアの転換期(transition)に焦点を当てたいと思います。転換期とは、ある発達段階から次の発達段階への移行を指します。例えば、キャリア心理学者のスーパーは、キャリアの発達段階を成長期・探索期・確立期・維持期・解放期の5段階に分けていますが、これらの各期の節目が転換期となります。こ
もっとみる旅をした詩集(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第8回
どこかへ旅に出る時は、必ず、一冊か二冊、本を持って行く。やっぱり、紙の本がいい。とはいえ、荷物はなるべく軽くまとめたいので、選ぶのはたいてい文庫本か、四六判くらいまでの本になる。
最初の海外渡航となった、中国からロシア、ヨーロッパを巡った時の四カ月間の旅では、以前別の文章にも書いたが、ロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を持って行った。報道写真家の先駆けであった彼が、第二次世界大戦下のヨーロ
転機が自己形成や人生に与える心理学的な仕組み(近畿大学教職教育部教授:杉浦健) #転機の心理学
はじめに 誰しも人生を振り返ったとき、自分が大きく変わったきっかけや出来事、その出来事がなければ今の自分はなかっただろう、そんな転機の経験を大あれ小あれ思い出すことができるだろう。
簡単に言えばそれは過去に転機を経験したことで自分が成長したのだということなのだが、心理学的に考えると、事はそんなに単純ではなく、そこには転機が人の成長や発達をもたらす心理学的機序(心理学的な仕組み)、さらに言えば、
連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第5回】自己決定を促す作文(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
不登校支援を始めた当初、学校復帰について考えあぐねていました。当時は、学校復帰が大きな目標とされていたのですが、私が勤務する教育支援センター(適応指導教室)では、学校復帰する子がほとんどいないという現状がありました。
「学校に戻りなさいって言われて行けるくらいだったら、こんなに苦労してないよ。」そんなふうに話す子もいました。教育支援センター(適応指導教室)で力を付けて、自分のタイミングで学