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子どもを育てることばかけ(国際医療福祉大学成田保健医療学部言語聴覚学科准教授:岩﨑淳也) リレー連載:子どものことばとコミュニケーションを支援する
「ことばかけ」と言葉の発達 どんなに知能が高くても「お母さん、こんにちは!」と話をしながら生まれてくる赤ちゃんはいません。子どもが「ママ」「パパ」などの言葉を話せるようになるには、個人差はありますが、1年くらいの時間が必要です。
言葉が育つには、大人の愛情や、認知機能の発達、コミュニケーション能力の発達など様々な要因がありますが、ここで私が取り上げたいのは、大人からの「ことばかけ」です。言葉を
死を待つ人々の家(前編)(著述家・編集者・写真家:山本高樹) #流離人のノート 第4回
カルカッタという街の名が、コルカタに変わる前の年の、ある夏の朝。
サルベーション・アーミーが運営する安宿の前でYさんと落ち合って、サダル・ストリートから東へと歩いていく。透き通るような朝の日射し。鳥たちの鳴き声がかまびすしい。道路脇にずらりと並ぶ黄色いタクシーの車体を、運転手たちが悠々と洗っている。
「あ、あそこが、マザー・ハウス!」
二十分ほど歩いたところで、Yさんが、行手に現れた建物を指
他者のサポートと自分の安定を両立するために(子育てカウンセリング・リソースポート代表:半田一郎) #こころのSOS
身近な人からのSOSあったときに、その人をサポートすることは、自分自身にとって様々な負担が生じます。サポートのためには、時間も必要です。交通費がかかることも多いと思います。また、ちょっとした買い物や食事の費用も必要になるかもしれません。そういった現実的な負担だけではなく、心理的な負担も大きいものです。誰かをサポートするということは、自分のペースではなく、相手のペースに合わせることが必要です。それ
もっとみる連載:作文で変わる不登校の子どもたち~書くことで自己と対話する【第1回】学びとケアの中間としての作文(教育支援センター(適応指導教室)教育相談員・スクールカウンセラー:林千恵子)
はじめに 先日、2022年度の小中学校における不登校者数が文部科学省より発表されました。29万9.048人。前年度から5万4.108人増加し、過去最多を更新しています。その中で、38.2%が学校内外で相談・指導を受けていないとされています。
増加数の多さに驚くとともに、一人一人の子どもたちがどのような思いで過ごし、不登校という経験をどのように自分の中で消化し、自分なりの解決をしていくのか。それ
主体性とはイデオロギーではないだろうか(東京農業大学教職・学術情報課程准教授:鈴木聡志) #誘惑する心理学
文部科学省の平成29・30年告示小・中・高等学校『学習指導要領』に「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」の語が載った。このため現在わが国の初等・中等教育では児童生徒が「主体的・対話的で深い学び」ができるよう教員達は努めている。少なくともそうすることが望ましいとされている。しかし主体的な学びは最近になって突然提唱されたのでない。70年前から試みられている。過去にあった「主体的学習」につい
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